2015年3月にワタミ社長に就任した清水邦晃氏。14年9月までの10年間、介護部門の責任者だった。今回ワタミは介護部門を手放すという苦渋の決断を下した。自ら尽力し成長させてきた事業の売却は、清水氏にとって断腸の思いだったに違いない。(インタビューは15年1月に実施)
──ワタミにはどのような経緯で入社したのですか。
高校時代にアルバイトをしたのが、渡邉美樹がフランチャイジーとして展開していた居酒屋「つぼ八」だった。その後、大学を中退して21歳でワタミに入社し、すぐに店長を任された。店長という仕事は働くメンバーの声もお客様の声もいちばん近くで聴くことができる。うまくいかなければすぐに修正できることが、大きな魅力だった。
──その後、33歳のとき介護部門の責任者に抜擢されます。
私が介護に行く以前から何人かの方が責任者を務めたが、なかなか軌道に乗らなかった。そんなときに自分に声がかかった。それまでは老人ホームなんて行ったこともなければ、興味もなかった。
当時、私は外食事業の新業態プロジェクトのリーダーだった。「和民」に次ぐ第2の柱となる業態を作ってやろうと燃えていた矢先の人事発表だっただけに、介護に行くという人事には納得できなかった。
その頃、ワタミは介護の運営企業を買収したばかりで現場は混沌としていたが、社長だった渡邉に呼ばれてこう言われた。「会社は買った買われたじゃない。入居者様を幸せにしたいという思いは一緒だから、その方向を1つにしてもらいたい。おまえならできる」。そこまで言われたら、自分が行くしかないと思った。
──介護部門のトップとして最初にしたことは何ですか。
まずは介護に携わる方の思いを知りたかった。そこで、ホームヘルパー2級の資格を取って、大阪の介護現場で研修に臨んだ。病院回りもして、介護のいろはを教わった。介護で働く人は本当にいい人が多い。お年寄りの生活の面倒を見るのは簡単ではないし、この仕事が永遠に続くと言われたら大変なことだと感じた。
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