南シナ海をめぐる、中国と周辺国の緊張が続いている。8月4日、マレーシアのクアラルンプールで開かれたASEAN(東南アジア諸国連合)外相会議でも、中国による南沙諸島ファイアリークロス(永暑)礁の軍事拠点化を懸念する声が相次いだ。この岩礁では、中国による3000メートル級の滑走路建設が確認されている。
ファイアリークロス礁は1988年3月、中国が南沙諸島のジョンソン南礁近海でベトナムとの海戦で勝利して以来、実効支配している場所。さらにさかのぼる74年には、当時の南ベトナム(ベトナム共和国)との「西沙海戦」の結果、西沙諸島を中国の実行支配下に置いている。
ファイアリークロス礁の施設が完成すれば、西沙諸島のウッディアイランドにある2500メートル級滑走路との連携が可能になる。「中国の支配が点から線へと移行し、南シナ海における軍事バランスが大きく中国へ傾くことになる」(元海上自衛隊自衛艦隊司令官の香田洋二氏)。
この海域への進出を中国はなぜ強行するのか。その背景には、中国の発展戦略が隠れている。
中国が領有の根拠にしているのは、46年に当時の中華民国・国民党政府が作成した「南海諸島位置図」だ。南沙諸島で最大の島・太平島を、台湾が今でも実効支配しているのはこの歴史があるためだ。
中国は南シナ海を「大国である米国に伍していくための戦略的海域」としている。今後、中国は米国と並ぶ大国として世界への影響力を行使していくが、軍事力では米国にとても勝てない。だが、中国を中心とするアジアでは米国の影響力を極力排除したいというのが中国の願望だ。自国の海上交通路を完全にコントロールするため、東シナ海と南シナ海の制海権を握りたいのだ。
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