有料会員登録 東洋経済オンラインとは
ライフ #クスリ最前線

あなたの家にもある残薬 止まらない過剰投薬の現実

3分で読める 有料会員限定

「薬が足りへんやないか!」。大阪府内の薬局に、70代の男性から電話が入った。薬剤師の福井繁雄氏は、足りないと言われた薬を届けようと、男性宅に駆け付けた。

男性は湯飲みを10個ほどテーブルにずらりと並べ、その中に処方された薬を種類別に分けて入れていた。だが、一つの湯飲みに数種類の薬が入っている。色や形の似ている薬を混同していたのだ。男性は「薬の数が合わない」と思い込み、薬局に電話をしたという。

しかし、よく見ると男性が分けているのは数週間前にもらった薬。家の中を見回すと、その後に処方された薬が、ビニール袋に入ったまま放置されていた。薬は足りないどころか、大量に余っていた。この男性は薬を分けるだけで満足し、風邪薬など効果がすぐに出る薬は飲んでも、それ以外の薬は飲み忘れていた。

これは特殊なケースではない。福井氏は在宅指導の中で、薬が飲み残されている現状を何度も目にした。「1日3食取る習慣のない人の場合は、毎食後に飲むべき薬を余らせてしまう。さらに、がん患者などの場合、飲み薬を飲み込むこと自体がつらく、薬を敬遠してしまう」と福井氏は話す。

薬剤師の福井繁雄氏が5軒の在宅訪問で回収した残薬。抗がん剤や漢方薬などが余っていた

残薬の背景にある余りやすい構造

日本薬剤師会によれば、飲み忘れなどで積み重なった残薬の薬剤費は年間約500億円に上る。

残薬の原因の一つは、薬が一度に大量に処方されることだ。2002年以降、長期投与の制限が緩和され、慢性疾患では30日分、90日分といった処方がなされている。高齢者にとっては、大量の薬を数カ月の間、正しく服用するのは至難の業だ。

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ライフ

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数