「もともと駐車場などのスペースを確保するため秩父宮ラグビー場を取り壊す話が計画の始まり。具体的な内容はこれからだ」
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長で、日本ラグビーフットボール協会会長でもある森喜朗氏は、これまでの経緯をそう説明する。
東京都は4月、神宮外苑の地区計画を公表した。都と宗教法人明治神宮など権利関係者6者が基本覚書を締結。ただ現時点ではいずれの当事者からも具体的な開発スキームは明らかにされていない。
球場の建て替えに約200億円
2009年にラグビーワールドカップの日本開催が決定し国立競技場を建て替える方針が固まった段階で、再開発構想が浮上していたのは確かだろう。築89年の明治神宮球場など、神宮外苑のスポーツ関連施設は老朽化が進んでおり、東京五輪の開催決定が大きな決め手になった。
東京都がたたき台として示している構想では、日本スポーツ振興センターが保有する秩父宮ラグビー場を取り壊して東京五輪などで活用した後、明治神宮が外苑内に持つ他の敷地と交換。五輪開催後、明治神宮が、国道246号(青山通り)や地下鉄駅からより近い場所に新野球場を建設する。
神宮外苑は、明治神宮球場が完成した1926年に国内初の風致地区に指定され、建物の高さは15メートルに制限されている。近くに赤坂御用地もあるため、周辺地区も青山通り沿いを除いて容積率が200~300%に抑えられ、超高層ビルが林立するようになった都心部では珍しく緑が豊かで良好な環境が維持されてきた。新国立競技場の建て替え問題でも高さ70メートルの巨大建築に反対運動が起きるなど、創建当時の景観・環境の保全を望む声は多い。
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