祖業である音響機器事業を手放す──。パイオニアは昨年秋、事業再編で大きな決断を下した。併せて好採算のDJ機器事業は米投資ファンドに売却する。手元に残したのは車載機器事業だけ。今後の勝算を小谷進社長に聞いた。
──音響機器とDJ機器事業を手放す決断を下した理由は?
2009年にプラズマテレビから撤退し、残った車載機器とホームAV(音響機器)、光ディスク、DJ機器を共に成長させていこうとした。
だが、ホームAVの市場は成熟しており、DJ機器もシェアをさらに伸ばすのは難しくなっている。光ディスクも市場が収縮している。
一方、カーエレクトロニクス(車載機器)の事業環境はものすごく変化してきた。通信の高速化や大容量化で、競争相手が従来のようなカーナビのハードメーカーだけでなく、通信、ITといった分野から、われわれの数倍大きい企業にも広がってきている。そこで勝ち残るには、力を分散させていてはダメだ。カーエレにリソースを集中させることが最善だと判断した。
(祖業を手放すのは)忸怩(じくじ)たる思いだが、重要なことは、当社のDNAである“音”へのこだわりは継続させるということだ。
──車載機器の主力製品のカーナビは、スマートフォンなどに置き換わっていくとの見方もある。
確かにスマホのグーグルマップなどは、従来型のカーナビと遜色ないくらい進化している。
ただし、すべてがスマホに置き換わるわけではない。今でも多くの人はスマホを持っているが、車の中ではナビを使っており、ディスプレーも残っている。ただディスプレーだけを手掛けても、価格競争にのみ込まれる。だから、ハードを引き続き重視しながら、渋滞情報などのサービス、車と通信がつながる「コネクテッド化」の流れを見据えて、法人向けの運行管理システムなど新たな提案を強化していく。
この記事は有料会員限定です
残り 529文字
