「誰も責任を取っていないし、リコール(回収・修理)から学習するという決意がはたしてあるのかどうか」
昨年9月、米議会下院エネルギー・商業委員会が45ページから成る報告書を発表した。調査対象は、米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)だ。

参考にした監督事例は、昨年春から相次いだ米ゼネラル・モーターズ(GM)の大規模リコール。点火スイッチなどさまざまな不備を見落としたNHTSAの組織的欠陥を列挙した。報告書はこう結論づける。「NHTSAは欠陥の可能性を察知するだけの十分な情報を持っていた。が、部品と事故の因果関係や類似事件の発見に失敗した」。監督局として具備するべき「基礎動作力」に疑義を突き付けたのだ。
前後して米消費者保護団体センター・フォー・オート・セーフティを設立したことで知られる、市民活動家のラルフ・ネーダー氏が、米大手紙にNHTSA批判文を寄稿した。同氏はNHTSA設立を米議会に働きかけた「生みの親」でもあるのだが、「NHTSAは受身的で(自動車業界に)取り込まれた」と辛辣だった。
エアバッグの欠陥に絡んで、日本の自動車部品メーカー、タカタに対する強権的なリコール命令を発動したNHTSAだが、米国内ではバッシングにさらされている。GMの大規模リコールの発端となった「シボレー・コバルト」の欠陥に関して、ステアリングの不具合や関連事故に絡む1000件超の苦情を放置した。
コバルトの場合、ウィスコンシン州の交通局が欠陥の原因を突き止め、2007年にNHTSAに報告している。だが、リコール発動まで7年の月日がかかった。エド・マーキー上院議員(民主党)の言葉を借りるなら、「米国民の安全を守る観点での根本的な失敗を犯した」。
この記事は有料会員限定です
残り 581文字
