自民、「勝つ候補選び」へギリギリの調整 素行の悪い新人議員を"排除"

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公認を巡り、解散前後からさまざまな人間ドラマが繰り広げられている。写真は11月21日衆院本会議場にて(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

12月2日の衆院選公示を控え、各党が「勝てる候補」を擁立しようと動き出している。

自民党は、2012年の選挙で当選した1年生議員の『素行』を調査し、次期選挙では公認をすげ替えることも考えている――こうした話は、解散風が吹く前から筆者の耳に入っていた。

宮城5区をどうするか

その代表的な議員が宮城5区(石巻市、東松島市など)の大久保三代氏だ。そもそも2012年の衆院選では、自民党宮城県連は民主党の安住淳元財務相が強かったため、独自候補を立てる予定はなかったという。そこに落下傘で降りてきたのが大久保氏。「元NHKニュースキャスター」という経歴が売りで、元NHK政治部記者の安住氏とぶつけた次第である。

この時は自民党に猛烈な追い風が吹いたが、安住氏の得票6万2000に対し、大久保氏の得票は3万と半分に及ばず。東北ブロックで復活当選したものの、大久保氏の永田町での評価は芳しくなかった。

まずは当選直後の挨拶回りだ。子どもをベビーカーに乗せ、普段着姿で各事務所を回る大久保氏に、自民党の女性秘書たちは眉をしかめた。さらに天皇陛下がご臨席される通常国会の開会式でお召し(礼装ではない)を着用していたことも顰蹙をかった。

彼女のブログも問題になった。2013年の参院選で候補者の1000枚のポスターを貼るように石破茂幹事長(当時)から指示されたことを「ストレス性イシバ症候群」と名付け、「説教したって無駄なのにさ、あー胃が痛い」(2013年6月4日の「いつみてもSOCIAL WORK」)と茶化したことも、1年生議員の態度として疑問視された。

こうしたことも背景にあったのだろう、自民の宮城5区支部は大久保氏の公認推薦を拒否。その理由として「任期中に地元への貢献が少なかったこと」を挙げている。大久保氏は「5区を自民空白区にしないため12月2日の公示日まで全力をかけて公認を獲得すべく努力する」などと意欲を示しているが、果たしてどうなるだろうか。

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