環境・CSRの未来戦略

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このような問題は、CSRを精神論でとらえていては到底解決できません。まずは経営でいう「PDCAサイクル」を回していくべきでしょう。きちんとCSR活動の目標を設定し、具体的な行動計画に落とし込み、それを実行し、途中でどの程度の効果があったのか測定・評価し、反省点などを踏まえたうえで必要であれば計画に修正を加えていく。

たとえばCSR活動によって、その企業の製品・サービスの価格プレミアムが本当に創出されているのか、検証する必要がある。つまり同品質、同量の商品を製造販売しているA社とB社があった時、環境活動に一生懸命取り組んでいるA社の商品が多少高価格でもB社と同等以上に売れているということを、ある程度の規模のサンプルを使って検証する必要があります。

CSRの理想の一つは、企業の活動そのものがCSRと同化しているというものです。化粧品の製造・販売を行う企業のいい例があります。この企業は創業当初から、製品開発にあたり動物実験をいっさい行わない。使う原料やその調達はエコ・コンシャスかつフェアトレードで、人権尊重の啓発に意欲的に取り組んでいます。このようにCSRという言葉を使わなくても、企業の中核事業がCSRそのものというのが、これから期待されるCSRの一つのあり方だと思います。

今後のキーワードは
「循環」「全体最適」

昨今では、これまで開示してきた各種の情報を統合して、従来の財務情報に加えてコーポレートガバナンスや環境活動・知的資産のような非財務情報を有機的にまとめた「統合報告書」を作る動きが活発化しています。また、今年二月には日本版スチュワードシップ・コードの導入が始まり、機関投資家は企業の持続的成長を促す観点から、企業と「目的を持った対話」を行わなければならなくなりました。

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