楠木建「経営者は営業戦略をDXせよ」発言の真意

ハイブリッド時代こそ営業センスが武器になる

コロナ禍によってオンラインに対応できるツール導入をした企業が急増した。オンラインとオフラインが共存するハイブリッド時代において持続的な事業成長を遂げていくには、オンライン・オフライン問わず、営業活動の本質的な部分を支援する顧客データベースの構築が必要だ。そこで、競争戦略論を専門とする一橋ビジネススクール教授の楠木建氏に、企業が今後生き残るために欠かせない視点を解説してもらった。

現在のDXは「手段の代替」にとどまっている

DX(デジタルトランスフォーメーション)が経営のキーワードとなって久しい。しかし、本来の目的であるはずの「トランスフォーム」(ビジネスの変革)は今ひとつ進んでいないのが実情だ。経済産業省の「デジタルトランスフォーメーションの加速に向けた研究会 WG1」の全体報告書には、以下のように記されている。

「2020年に発表されたIT人材白書(情報処理推進機構)によれば、我が国におけるDXの成果については、業務効率化が中心的な役割であり、新規ビジネス・サービス創出の付加価値向上までには至っていないと言える」
(出典:https://www.meti.go.jp/press/2020/12/20201228004/20201228004-4.pdf)

なぜ、業務効率化に成果が偏ったのか。楠木氏は次のように解説する。

「アナログだったさまざまな業務プロセスをデジタル化すると、効率化やコスト削減につながります。これらは、投資対効果もわかりやすいので、今後も進んでいくでしょう。ただし、業務をデジタルに『代替』しただけなんです」

これは、企業の利益構造にも影響している。楠木氏によれば、「企業の利益はWTP(Willingness To Pay、顧客が支払いたいと思う水準)からコストを引いたもの」。利益を増やすにはWTPを上げるかコストを下げるしかないが、前者はビジネスやサービスの付加価値向上が必要だ。顧客という相手を動かさなくてはならないためハードルが高く、自分ですぐコントロールできるコスト削減をつい優先してしまう。

「もちろんコスト削減は重要ですが、どうしても限界があります。事業成長を目指すなら、売り上げを増やすことに力を注がなくてはならないのに、そこに直接貢献できる営業はDXにおいて軽視されています。企業にとって営業は売り上げを稼ぐ“4番バッター”なのに、良いバットが与えられていないという状態です」

楠木 建
一橋ビジネススクール教授
一橋大学商学部卒、同大学院商学研究科博士課程修了。専門は競争戦略。『ストーリーとしての競争戦略:優れた戦略の条件』(2010、東洋経済新報社)、『逆・タイムマシン経営論 近過去の歴史に学ぶ経営知』(杉浦泰氏との共著、2020、日経BP)など著書多数

事業成長を実現させる「真の営業DX」とは

では、どんな“バット”を用意すれば真の営業DXにつながるのだろうか。つい、テレワークの普及によってスタンダードとなった商談のオンライン化で満足しがちだが、楠木氏はそれこそ効率化とコスト削減のみにとどまってしまうという。

「オンライン商談は、オプションが増えたという意味で大きな変化です。しかし、コミュニケーションチャネルの問題としてDXを考えると、営業の本質を見失うのではないでしょうか」

コロナ禍を経て、オンラインとオフラインのハイブリッドな環境に対応したビジネスが求められている。効果的な営業活動のため、コミュニケーションチャネルを使い分けることは当然必要だ。ただ、それはあくまでも手段の話。事業成長を狙うならば、営業の本質に根ざしたトランスフォームへ舵を切る必要があるというわけだ。

「時代の変化に関係なく、企業にとって最も重要なのは営業です。なぜなら、人にお金を払わせることほど難しいことはないからです。その難しさを崩すのに、『そもそもターゲットは誰なのか』『相手が何を求めているのか』『これを売りに行くなら誰に会うのがいちばんいいのか』といった部分がカギとなるのは変わらないと思うんです。とりわけBtoBで強い営業力を持っている企業は、そうしたポイントをしっかりと押さえ、顧客の組織内がどのようにつながって動いているのかといった洞察を欠かさないように見えます」

顧客のデータを適切に収集し、整理して独自のデータベースを構築する――。これまでは営業パーソンの“センス”に依存し、それぞれの頭の中で蓄えていた。たしかに、コミュニケーションの取り方、ニーズを把握する嗅覚など、営業の本質は変わらない。営業センスはどんな時代においても普遍的で重要な感覚だろう。

一方、時代はつねに変化している。顧客接点は多様化し、コミュニケーションツールの選択肢も増えた。かつての営業センスを発揮する難易度は格段に上がっている。今まで通り営業パーソンに属人化したセンス頼みでは時代に取り残され、やがて企業の成長は止まってしまうリスクもある。だから、あらゆる接点をデータ化し、営業パーソン個人で抱えていた顧客情報を組織的な資産として管理・共有する企業独自のデータベースを構築する必要がある。

「企業独自のデータベースを活用することで営業戦略そのものが変化するでしょう。それこそがトランスフォームまで実現した真の営業DXと言えるのではないでしょうか。オンライン・オフラインの両環境が整いさまざまな顧客接点があるハイブリッド時代において、過去の営業センス頼りの営業スタイルへ逆戻りするのではなく真の営業DXに取り組むかがこれからの事業成長の明暗を決めるでしょう」

 

無理なく、正確な最新情報を蓄積するSansan

真の営業DXには単なる「手段の代替」ではなく、営業活動の本質的な部分を支援する顧客データベースの構築が必要だと指摘する楠木氏は、Sansanのサービスがその道筋をつけやすいと指摘する。

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Sansanは名刺から取り込まれる情報に加え、自動的に企業情報が更新される。その企業独自のデータベースが構築できるため、営業力強化のプラットフォームとして活用できる

「Sansanの優れているのは、データのインプットが名刺交換というビジネスパーソンにとってごく自然な行動の中で実施できる点です。無理せず、無意識のうちにデータが蓄積できるので、非常によくできています」

しかもSansanは、国内最大級の企業情報を持つ帝国データバンクとも強力に連携。基本情報から財務諸表まで、接点のない企業の詳細な情報にもアクセスできる。顧客理解を深めて高精度な営業戦略を構築し、最適な組織営業を展開できるため、受注確度の向上も望める。

「経営者の方に申し上げたいのは、コスト削減で満足しないでくださいということです。『電気をこまめに消しましょう』というのは確かにとても大切ですし、今のDXは大半がそういう話です。でも、商売の本質は売り上げを増やすことでしょう。値引きをせず適正値段でたくさん売る、そういう強い商売を展開し続けるために、デジタル技術をうまく使うべきではないでしょうか」

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あらゆる顧客との接点をデータ化することで、社内に蓄積される多くの顧客情報。それらを「使える」状態にするためにはビジネスデータを多角的に追加しリッチ化することも重要だ

コロナ禍で大きく時代が変化したように、この先も社会や生活のあり方やニーズもめまぐるしく変わっていくだろう。そうした変化にしっかりと対応していくためにも、Sansanのソリューションを活用して真の営業DXを進めることが重要となってくるのではないか。

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