子どもの疑問「火星の夕焼けは何色?」の答え方 意外と知らない身の回りの科学の疑問に回答

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さて、「火星の夕焼けは何色?」についてお話ししましょう。2012年から火星の探査を続けているNASAの探査機キュリオシティがこれまで送ってきた何枚もの火星の画像の中に、火星の夕暮れの風景がありました。

火星は地球の1.5倍ほど太陽から遠いので、地球の3分の2くらいの大きさに見える太陽とともに“青い空”が映っていました。つまり、火星の夕焼けは青色です。ではなぜ、火星の夕焼けは青いのでしょうか?

空の色が地球と逆になるワケ

火星にも地球と同じく大気があります。ならば、地球と同じことが起こるのではと思うかもしれませんが、実際はだいぶ事情が違ってきます。まず火星の大気は非常に薄いため、地面から巻き上げられた微小なチリによって光が散乱します。

地球では、空気分子に近い波長の光がより散乱されていました。このように、光には光の波長と同程度のサイズの粒子に強く散乱されるという性質があります。火星では、光は微妙なチリに当たって散乱するのですが、この微小なチリのサイズが赤色の波長と同程度なのです。

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こうして火星の場合、赤色の光がより多く散乱されるため、火星の昼間の空の色は赤っぽくなります。つまり、昼夜の空の色が地球と逆になるのです。

夕方は、太陽の光が火星の大気中を長く通り抜けることで、赤色の光はほとんど散乱されてしまうため、比較的散乱されにくい青色の光が多く目に届くことになります。その結果、火星の夕焼けが青色に見えるのです。

まさか、火星の空の色が地球の空の色と昼夜逆転していたなんて、驚かれたのではないでしょうか? 今回は、“火星”といった地球外のお話をしましたが、私たちは日々、身の回りで科学の恩恵を受けています。

身の回りに潜んでいる科学を知ることで、「科学って何に役立つの?」というふうに抱いていた疑問が、「これも、あれも、こんなものまで、科学の恩恵を受けていたんだ!」という認識になり、身近な所から世界まで、見え方が大きく変わるかもしれません。

二間瀬 敏史 京都産業大学理学部教授

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ふたませ としふみ / Toshifumi Futamase

1953年、北海道生まれ。京都大学理学部を卒業後、ウェールズ大学カーディフ校応用数学・天文学部博士課程を修了。マックス・プランク天体物理学研究所、米・ワシントン大学研究員、東北大学大学院教授などを経て、現在は京都産業大学理学部宇宙物理・気象学科教授、東北大学名誉教授。一般相対性理論と宇宙論が専門。

著書には、『宇宙の謎 暗黒物質と巨大ブラックホール』(さくら舎)、『タイムマシンって実現できる?』(誠文堂新光社)、『宇宙用語図鑑』(共著、マガジンハウス)など多数。

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