格差は政府ではなく日本国民が増長している訳 なぜ「日経平均株価3万円」を喜べないのか?
短期的な日経平均の値動きには、海外投資家の動向が大きな影響を与えると言われている。なぜなら、海外投資家は国内投資家に比べて売買を頻繁に繰り返す傾向があり、日本株の売買シェアの実に6~7割を占めているからだ(東京証券取引所「投資部門別売買状況」)。
2020年後半、日本株を買い続けてきたのは海外投資家と日本銀行だ。一方、この状況を「バブル」と捉えた個人は、ほぼ一貫して保有株を売り続けている。
「自分たちの行動で格差を広げてしまっている」
「日本人は、大切な資産である株式を喜んで投げ出している。自分の身体で労働を提供して、おいしいところだけ外国人に持っていかれている」と、藤野氏は説明する。
つまり、日本人は労働対価をもらうだけの労働者にすぎず、株高の恩恵に預かれるのは外国人だけということだ。
そもそも日本人は、株式を「資産」ではなく「ばくち」の対象だと考える傾向が強い。そのため、家計の金融資産はいまだ現金・預金が半分以上を占める(日本銀行調査統計局「2020年第3四半期の資金循環<速報>」)。
「格差は政府ではなく、自分たちの行動で広げてしまっているもの。お金をただ抱えているだけでは増えないどころか、むしろ価値が減っている。私が今いちばん懸念しているのは、見えないうちに、日本人の生活がどんどん貧乏になっていくこと」
「大量の現金を手元に抱え込む意味はまったくない」と断言する藤野氏自身の金融資産は、なんと株式の割合が95%。気鋭のプロ投資家は、日本の株高に貧困と格差の深刻化を見て警鐘を鳴らしている。
(構成・酒井理恵)
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