バカ高い資格取得費用を国に払ってもらう裏技 給付金制度をうまく利用するにはどうする?

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2019年10月から、速やかな再就職や早期のキャリア形成に資するとされる講座を受講、修了した場合には、特定一般教育訓練給付金が支給されることになりました。

一般教育訓練給付金が費用の20%(上限10万円)だったのに対し、その2倍の給付金、つまり受講のために支払った費用の40%(上限20万円)が支給されることになります(給付金が4000円を超えない場合は不支給)。受給のために必要な雇用保険加入期間も一般教育訓練給付金と同じ(3年以上、初回の場合は1年以上)です。

ただし、一般教育訓練給付金と異なり、給付金の支給申請の手続きのほかに、受講前の手続きもあります。受講開始の1カ月前までに、「訓練対応キャリアコンサルタント」による訓練前キャリアコンサルティングを受けたうえ、訓練前キャリアコンサルティングで交付されたジョブ・カードに「教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票」などを添えてハローワークに提出する必要があります。

特定一般教育訓練給付金の対象講座については現在400講座以上指定されています。一般教育訓練給付金より対象講座数はかなり少ないですが、制度開始以降、対象講座数は増えつつあります。一般教育訓練給付金より多く給付金が支給されるため、取得したい資格で指定講座はないか確認してみましょう。

専門家を目指すための長期受講も支援してくれる

資格によっては専門性が高く、受講期間が2年、3年に及ぶ講座もあるでしょう。こういった中長期的なキャリアの形成を支援するための給付金として専門実践教育訓練給付金があり、専門的、実践的な教育訓練として厚生労働大臣に指定された教育訓練を修了した場合に支給されることになっています。

専門実践教育訓練給付金の対象教育訓練として、業務独占資格(建築士、美容師、看護師など)、名称独占資格(介護福祉士、精神保健福祉士、保育士など)の取得を目的とした課程、専修学校の職業実践専門課程(商業実務など)、専門職大学院のような高度専門職業人の養成を目的とした課程、大学の職業実践力育成プログラム、第4次産業革命スキル習得講座(AIなど)が含まれています。

専門実践教育訓練給付金を受けるためには、一般教育訓練給付金同様、雇用保険の加入期間が3年以上(ただし、初回の場合は1年以上ではなく、2年以上)あることが条件となります。また、受給のためには受給開始1カ月前までの事前手続きがあり、「訓練対応キャリアコンサルタント」による訓練前キャリアコンサルティング、ハローワークへのジョブ・カードなどの提出も必要です。

専門実践教育訓練給付金は、専門的な講座を対象としているため、一般教育訓練給付金、特定一般教育訓練給付金より給付率が高く、受講のために支払った費用(入学金・受講料)の50%となり、1年当たりの上限は40万円になります。長期に及ぶため、当然、1年を超える受講期間についても給付金の対象になります。

また、専門実践教育訓練を修了して当該訓練にかかる資格を取得し、訓練修了日から1年以内に雇用保険被保険者として雇用された場合は給付が上乗せされることになり、受講費用の70%が給付金として支給され、1年当たりの上限額も56万円となります。3年間の受講の場合では、通常は120万円(40万円×3)、資格取得・就職の場合は168万円(56万円×3)を上限として支給されるでしょう。

受講が長期間に及ぶため、ハローワークへの給付金の支給申請については6カ月ごとに行うことになります。つまり、受講修了を待たずに受給し始めることができます。

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