PwC グローバル メガトレンド フォーラム
~勝ち残りを賭ける日本企業が、世界のメガトレンドと
直面するグローバルリスクにどう立ち向かうかを考える1日~
(B-1)サイバーセキュリティの
脅威と対応
プライスウォーターハウスクーパースの松崎真樹氏は、PwCが世界で実施した「グローバル情報セキュリティ調査2014」の結果を基に、サイバーセキュリティのトレンドを説明した。
セキュリティ向上のために考えるテーマとして松崎氏は「情報を共有するバリューチェーンは1カ所破られると全体に波及する」と、ビジネスエコシステム全体のセキュリティ見直しを提案して、優先順位を付けた対応を求めた。最近のITソリューションの活用や事後体制作り―具体的には、セキュリティを統合的に扱うSIEM(セキュリティ情報及びイベント管理)技術や、CSIRT(事故発生後の対応組織)整備―が重要と指摘。日本企業については「投資効果を評価していない企業も多く、セキュリティ投資のバランスが良くない」と述べ、自社と他社、自社内の各組織でのセキュリティ状況の比較を含めた、見える化を進めるように訴えた。
(B-2)持続的な企業価値創造に貢献する
ディフェンスラインの活用方法
~グローバル・リスクマネーを
呼び込む統合報告への挑戦~
あらた監査法人の久禮由敬氏は、監査のためにさまざまなチェックシートが送られてくる現場の気持ちに言及して「現場のやらされ感が強くなってはかえってガバナンス効果が下がる懸念がある」と指摘。内部監査態勢の構築の仕方として、現場の業務執行部門、機能別の本社管理部門、内部監査部門、という三つのディフェンスラインを中心に、監査役や外部監査を加えて、フォーメーションのバランスをとりながら連携する、という考え方を紹介した。
さらに、そうしたリスク管理の力を企業価値評価に昇華させる手段を検討。財務情報だけでは説明できない企業価値を伝えるツールとして注目が高まる「統合報告」活用の可能性を示した。久禮氏は「時とともにリスクは変わり、対応するディフェンスラインも見直されるので、統合報告を通じた社内外のステークホルダーとの対話を長い目で継続することが大事です」と語った。
(B-3)グローバル競争下における
経営課題としての税とは?
税理士法人プライスウォーターハウスクーパースの宮川和也氏は「税は経営課題と密接に関係する」と強調。海外M&Aに伴う想定外の税負担発生などのリスクを示し、専門家への事前相談の重要性を訴えた。
日本では法人税率引き下げが議論されているが、日本企業の実効税率の高さは税の適切な管理に熱心でないことも一因という。一方、税はコストと考えて節税に積極的な欧米多国籍企業の中には、無形資産の税優遇国移転など、過剰な対策が世論の批判を浴び、CEOらが直接対応を迫られる経営問題に発展した例もある。宮川氏は「税にはコストとリスクの二面性がある。コストとして適切に管理することは国際競争力維持に必須だが、行き過ぎれば、違法な脱税でなくてもレピュテーション・リスクにつながる。税はバランス良く管理することが重要で、その取り組みを、すべてのステークホルダーに説明できるように準備しておくべき」と話した。