PwC グローバル メガトレンド フォーラム
~勝ち残りを賭ける日本企業が、世界のメガトレンドと
直面するグローバルリスクにどう立ち向かうかを考える1日~
【協力】東洋経済新報社
開会あいさつ
開会あいさつに立った、あらた監査法人の木村浩一郎代表執行役は「日本経済もアベノミクスの効果で元気が出てきた」と切り出した。「世界のCEOも成長に向けた自信を深めていることが、意識調査から読み取れるようになった」と指摘した木村氏は「グローバルトレンドのリスクとオポチュニティについて検討し、日本の企業がどこに向かうべきか、を皆さんと考えたい」と、フォーラムの狙いについて語った。
スペシャルセッション
世界の10大リスクと「Gゼロ」後の世界
オバマ大統領訪日最終日に当たったこの日、政治学者のイアン・ブレマー氏は、日米関係について「日本との関係は良好だが、オバマ政権は明らかに中国との関係をより重要と考えている」と話し始めた。その中で、日本は、景気を改善するアベノミクスの改革と、日本の競争力を強化しつつ、中国に改革を迫る圧力ともなるTPPを進めるべき、と語った。
本題の、日本に影響する地政学的メガトレンドについてブレマー氏は、①米外交の凋落、②中国の改革の行方、③ロシア問題、④イランの核交渉、の4点を挙げた。米国は圧倒的な軍事力を世界に展開しているが、「力の行使は望まず、他国への影響力も薄れている。ただ、Gゼロは米国にとっては悪くはない」と語り、米外交の凋落傾向は続くとした。
中国については「習近平という強力なリーダーがエネルギー、政治腐敗、金融、国有企業などを改革していることは喜ばしい」と評価。米国は改革の成功を望むが、成否は予想できないという。改革成功は、日本も含めた外資企業の投資環境を改善するが、失敗すれば、安全保障などの面で日本にも深刻な問題をもたらす、と懸念した。ロシアの問題については「ウクライナはロシアから自立できないし、ロシアが手を引くこともない」と断言。ロシアの孤立化を図る米国の政策は、ロシアのエネルギーが不可欠な欧州、武器輸入する中印の存在で失敗すると予測した。一方で、イランの核問題をめぐる交渉の行方については楽観的で、イランの石油輸出再開、石油価格下落などの朗報が届く、と見通した。
今年、大きな選挙が相次ぐ新興国市場については「政府の機能が不十分で、与党が勝利しても経済改革は進まない」とやや悲観的で、経済が沈下するロシアなどを新興国と呼べるかどうか、鑑別すべきと指摘。日本は、もっとアフリカに目を向けることを推奨した。
最後の質疑は、中国や韓国と日本の関係に集中。ブレマー氏は「国によって歴史に対する視点は異なる。靖国問題など、歴史を持ち出せば不要な対立が生じるので、歴史から離れた方がいい」と語った。