1980年代後半から1990年代後半にかけて日本はステーションワゴンブームだった。トヨタ「カルディナ」、日産「アベニール」、ホンダ「アコード・ワゴン」、マツダ「カペラ・ワゴン」、三菱「リベロ」にはじまり、これ以外にもたくさんのステーションワゴンが各社から発売された。
筆者はこの頃、数年間ステーションワゴン専門誌に籍を置いていた。頻繁に登場する新型モデルを取材するだけでも大変な日々だったことを思い出す。
クルマが売れただけではない。キャンプ道具やBBQセット、サマー&ウインタースポーツ一式も右肩上がりの販売を記録する。90年代も中盤になるとカーナビゲーションの普及とともに、オーディオシステムをセットにした高額商品が売れ行きを伸ばした。
初代「レガシィ・ツーリングワゴン」の功績
いわゆるステーションワゴンに特化したドレスアップ文化も芽生えた。ボディメイクならぬエアロパーツを各所に装着し、インチアップさせたタイヤ&ホイールを履かせつつ、車高を少しだけ低くするローダウンサスペンションで見た目上のトータルバランスを図る。
こうした流行は全国に波及。筆者も、週末ともなれば全国各地に出向いてオーナー取材を行っていたが、ワゴンライフを楽しむ彼、彼女たちはみな楽しげで満面の笑みだった。
そうしたステーションワゴンブームの火付け役にして牽引役とも言えるのが、1989年に登場した初代「レガシィ・ツーリングワゴン」だ。セダンに遅れてステーションワゴンにも追加されたターボモデル(200PS/26.5kgf・m)は本格的なステーションワゴンボディと2.0Lハイパワーエンジンを組み合わせた先駆けとして、その後の競合車に影響を及ぼす。
1996年6月に登場した2代目レガシィ・ツーリングワゴンのマイナーチェンジモデルでは「GT-B」がその名を轟かす。史上初の280PS×5速MT(4速ATは260PS)に、ビルシュタイン製倒立式ダンパーと17インチホイールを装着し、ステーションワゴンのスポーツブランドとして確固たる地位を確立した。
そうしたなか、2代目となる新型レヴォーグが登場。日本市場はSUVや軽自動車、ミニバンにおされ、今やステーションワゴンの人気はそれほど高くはない。
しかし、ホンダアクセスが行った直近のアンケート(N=1000)によると、「家族での長距離ドライブで使うクルマのボディタイプ」では、SUV9.9%、セダン9.5%に次いで、ステーションワゴン8.0%とそれなりの数を維持している。
ステーションワゴン歴20年以上の筆者からすれば、新型レヴォーグがきっかけとなり、改めて日本におけるステーションワゴンの利便性が見直されるといいなと思う。
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