重症のギャンブル癖は焼くまで治らない
息子が親からおカネを巻き上げるのは、簡単です。母親の息子への愛情や願いを逆手に取って、「今度こそ真面目になる」とか「このおカネさえあれば立ち直れる」と、それはもうしおらしく繰り返すだけで、それに母親が乗ってくれている間は母親は結構なカネづるです。騙され続けて何十年で、すっからかんになって他界した母親を何人も知っていますが、そしてそんな息子は別れの儀式で誰よりも慟哭しますが、その後猛省して更正した息子は一人も知りません。ギャンブルは焼くまで治らないとは、よく言ったものです。
1億円近いおカネを30年ちかくに渡って、あの手この手で一人息子に騙され続け、更正を信じ貢ぎ続けて天国に行った母親がいます。なぜそこまで騙され続けるのかとの問いに、「息子の喜ぶ顔がみたかった」「私が信じずに誰が信じる?」。でもこれ等の言葉は、騙され続けたというべきか、子供を更に悪くしていったというべきか判りませんが、そうした母親たちの悲しい共通の信条かもしれません。
ギャンブラーにはおカネを貸すスキもみせるな
ある息子はおカネを吸い上げた母親との死別後に事業を再開し、立ち直ったかに見えました。そんなさ中に営業用の3台の車の車検代の借金を、嫁いだ姉に申し込んだのです。50万円ほどです。その姉は福ちゃんといって、実家の改築を一人でポンとやってのけるほど、カネ離れのいい娘なのですが、弟の申し入れはきっぱりと断りました。お節介な私は「福ちゃん、明らかに営業車の車検で、これがなかったら商売ができないのだから、出してあげてよ」。
若い福ちゃんの言葉がとても印象的でした。「あのね、おカネが惜しいのではありません。どんな理由でも私があの弟におカネを貸すと、私からは借りられると思ってしまうでしょ。その行く末は母の二の舞だし、母娘で同じ人生を歩む訳にはいきませんから。今まで貸した分は親の手前でしたから、プレゼントだと思う事にしました」。
彼は今、アルバイトでギリギリ生活をしていますが、母親にとっておカネを貸すも地獄、貸さぬも地獄なら、貸さないことで招く地獄の方がはるかに希望があり、時期が早いほど本人のためであることは明白です。
生活が乱れた人の借金が止まるのは、貸し手がきっぱりと、冷たいほどに厳しく、取り付く島がないほどに隙をみせず断ることに尽きます。私よりずっと若い福ちゃんの学習能力の高さに、感動すら覚えました。
山口様の息子さんはまだ若いですし、借金も途方もない金額ではないようです。定職も放り投げずきちんとこなしているようですし、本格的な?ギャンブラーではなく、まだまだ立ち直るチャンスはあると思います。家族が貸さなければ他人の所へ走るのではと心配になるようですが、他人もいつまでも相手にしてくれるものではありません。
破産宣告の制度利用もありますし、落ちる所まで落ちれば、そこからは這い上がるしかないと親がまず度胸を決めましょう。おカネに関する限りは親子の縁を切ると宣言し、百円も貸さない態度を毅然とみせてあげてください。それが山口さんが今の息子さんに出せる、唯一の処方箋です。
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