｢システム建築｣の用途拡大と飛躍に向けて 2工場体制の確立で進む安定供給と短納期対応
「加えて、『yess建築』では、上屋のプランニングから積算・設計・生産・現場施工までを一貫して行っているため、お客様の事業展開や設備投資の計画に応じた、迅速な対応が可能です」と大島氏は話す。
全国1200社のビルダーネットワーク
ここまで「yess建築」の特色を紹介してきた。横河システム建築が、業界でも珍しいシステム建築専用工場2工場を有し、建築面積では月産約10万平方メートルを超える能力を持っているのは大きな強みだが、同社を支えるもう1つの強みが、「ビルダー」と呼ばれる地域の建設会社のネットワークだ。現在、ビルダーの数は北海道から沖縄まで全国約1200社。これらのビルダーが、事前の相談から見積もり、施工、メンテナンス、増築や改修まで地域の顧客企業の要望にきめ細かく対応する。
右：地域の顧客企業を対応するビルダー加盟店ネットワークは北海道から沖縄まで全国展開する
「地域に根差し、お客様と信頼関係を構築し、ニーズを把握しているのがビルダーです。ビルダーの担当者が『yess見積3D』などを活用し、迅速で的確な提案をし、そしてお引き渡し後のメンテナンスを的確に行うことで、お客様の信頼を得ています」と大島氏は話す。
この「yess見積3D」システムは、「yess建築」独自のツールで、図面や見積書、工程表の作成のほか、建物の完成イメージ図を3次元パースで提案できるものだ。建物内をバーチャルにウォークスルー可能で、カラーバリエーションも簡単にシミュレーションできる。
一般の方でもマウスのドラッグ＆ドロップや表示されたメニューから選ぶだけで簡単に操作できるため、営業担当者はもとより事務のスタッフでも、これらの業務が可能だ。顧客の要望に応じて、寸法や建具配置、部材の変更なども簡単にできる。しかも通常なら複雑な計算で時間のかかる参考価格も、その場ですぐにわかるのだ。
「yess見積3D」なら、人的リソースに限りのある地域の建設会社などでも、迅速かつ柔軟な提案ができ、受注にもつながりやすいに違いない。大島氏によれば、在来工法からシステム建築へと事業を転換し、主力事業として参加する建設会社も増えているという。
大げさではなく、「yess建築」が地域に新たなビジネスを生み出し、地域の活性化に貢献しようとしている。
「『yess建築』は、システム建築では国内トップクラスのシェアといっても、非住宅S造の工場・倉庫・作業所の着工床面積ではまだ6％弱のシェア。まだまだ伸びしろがあると考えています。お客様やビルダーの皆様のご信頼、ご要望に応え、さらなるご利用を広げていきたいと願っています」と大島氏は力を込める。
