「システム建築」の用途拡大と飛躍に向けて 2工場体制の確立で進む安定供給と短納期対応
自社専用拠点が2工場へ。部材の安定供給が可能に
2024年度にも全線開通の見通しとなっている首都圏中央連絡自動車道(圏央道)。その圏央道・茂原北ICから約2.5キロメートル、車で約5分という至近距離に、千葉県が新たに整備した「茂原にいはる工業団地」が広がっている。
同工業団地の中で、最も大きな敷地を占めるのが19年8月に竣工したばかりの、横河システム建築「茂原工場」だ。敷地面積11万2921平方メートルに、工場棟、塗装・出荷ヤード棟、事務所棟などが配置されている。同社はこれまで、日本でも珍しいシステム建築専用工場「千葉工場」を有していた。新工場はシステム建築専用工場としては2拠点目になる。
同社 代表取締役社長の大島輝彦氏は「茂原工場の完成・稼働により、千葉工場と合わせた生産能力は直近月産7500トンとなりました。今後も設備増強を行い、22年度には月間生産量をこれまでの2倍の1万トンとする計画です。集中購買、一括生産により、『短納期、低価格、高品質』な『yess建築』の部材を安定的に生産できる体制が整いました」と話す。
「yess(イエス)建築」は、同社が展開するシステム建築のブランド名だ。システム建築は、鉄骨、屋根、外壁、建具などの部材を標準化することにより高品質な建物が短工期、低コストで建築できるのが大きな特長だ。その中でも同社の「yess建築」はビルドHフレームによる最大60メートルもの無柱スパンの大空間設計や、建物の幅、長さ、高さなどを1ミリメートルピッチで設計できるなど独自の機能を持つシステム建築となっている。
「yess建築」へのニーズは旺盛だ。中でもeコマース(電子商取引)企業は、各地で物流拠点の整備を進めている。一方で、原材料費や人件費の高騰、ボルトなど建設資材の不足、溶接工などの職人やエンジニアの人手不足、建設会社やファブリケーター(鉄骨加工業者)の減少などに伴う繁忙などにより、これらの開発や投資が計画どおりに進んでいないのが現状である。
その課題解決を実現するのが「yess建築」だ。システム建築の大きな利点の1つは、品質・工程管理が容易なことだ。部材が標準化されているため、高品質の加工や施工ができる。