「若者は安倍政権支持」の幻想と現実 距離をとり始めたロスジェネ

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世代として堅実になってきたとも言える一方で、若者の政治への無関心が、質を変えて顕在化してきているのではないか。ヤフー副社長で、06年に政治に関する情報や評価を掲載するサイト「ヤフー!みんなの政治」を立ち上げた川邊健太郎さん(39)も、ロスジェネの政治参加を促してきた「仕掛け人」だった。この世代の政治への意識を考えるうえで、東日本大震災の影響が大きいと話す。

「3・11を境に、政治に過度な期待をしなくなった。自分たちで互助しようという方向にパラダイムが変わった」

その変化を、急速に発達したソーシャルメディアが後押ししていると言う。

若年投票率向上を目指し、議員インターンシップなどを手掛けてきたNPO法人「ドットジェイピー」理事長の佐藤大吾さん(40)もこう見ている。

「安倍政権がどうこうということは、本当に意識していない。行政や政治家に頼るという発想が、そもそもない」

こんなたとえ話を例に引く。50、60代以上の人の場合、目の前に困った人がいれば、役所や政治家のもとに連れて行く。ところがロスジェネの場合、自らその人を助けようとし、場合によってはソーシャルメディアを使って協力を呼びかける。

「自分たちの問題を自分たちで解決するための手段として、政治があるのかもしれない。その意味で政治は、寄付行為やボランティア活動、社会起業家になるなど、数ある手段の一つになっていると思う」(佐藤さん)

自分たちの問題を自分たちの手で、という考えは社会起業家を生み出した。病児保育サービスなどを展開するNPO法人「フローレンス」代表理事の駒崎弘樹さん(34)もそのひとり。駒崎さんの政治とのかかわり方は、今後のロスジェネの姿を先取りしているのかもしれない。

政治家とは対等

「政治が社会をよくしてくれるとは思っていなくて、私たちが社会をよくできるように、政治に参加していく、というのが正しい態度だと思う」

NPOとしての事業活動は、目の前の人を助けられる一方で、問題の根源である制度や法律に影響を及ぼすことは難しい。だから駒崎さんは、政治家や行政にロビー活動も行ってきたのだ。

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