今、何をすればいい?
1億総相続時代の「新・相続知識」

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「高齢者住宅などに住み替える方もいらっしゃいます。自宅を売ると譲渡税の節税になります。売却益の一部を住み替えの費用にあてることにして、残りのお金を賃貸不動産に組み替えてしまえば、評価額が下がることにもつながります」

今は、長年守ってきた自宅をそのまま承継することが相続の価値とは言えなくなってきている。

「ご年配の方は、家はずっと持ち続けるものと考えていらっしゃる方が大半ですが、現実的にはそのまま子供に託せる状況ばかりとは限りません。同居もしない、節税にもならないということであれば、次の世代に託しやすいような組み替えを発想した方がいい時代だと思います」

相続でもめないためにしておきたいこと

相続では、節税などの経済面だけでなく、財産を遺される人に対する感情面での配慮も必要だろう。たとえば、一つしかない自宅を二人の子供たちにどう配分するかというのが典型的な問題だ。

「先ほど、自宅を売却して住み替えるというお話をしましたが、そのときに不動産を二つに分ける方法があります。一つはご自身が住んで、もう一つは賃貸住宅にする。そうすれば将来的に二人のお子さんに分けることができます。特に不動産は、承継しやすい形を見据えるのも大きなポイントです」

もめない相続を実現するためには、普段から親子間でのコミュニケーションを深めておく必要もある。コミュニケーションがないまま相続が始まると、「どう分けるか」がすべてとなり、相続人同士の対立を招くおそれがあるからだ。

「相続については、なかなか子供の方から働きかけるのが難しいというのが実情でしょう。ですから、元気なうちに、親の方から自分の考えを子供たちに伝えておくのが理想です。80代、90代になると自分で決断して動くのが難しくなりますし、身心の急激な衰えなどで、相続対策ができなくなる可能性もあります。70代は気力も体力もあり、自分の判断で動くことができる年代かと思います。情報をオープンにして、家族間で共有できれば、もめる危険性を防ぐことができます。ぜひ前向きに相続に取り組んでいただきたいですね」