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1億総相続時代の「新・相続知識」

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縮小

税率アップによる納税資金不足も

税制の改正後は、遺産取得価額2億~3億円に対する税率と、6億円超に対する税率が5%アップする。

たとえば、2人の子供が遺産総額2億円を相続するとき、現行の相続税額は2500万円。しかし基礎控除額の縮小で課税価格が増えることもあり、改正後の相続税は840万円アップし、3340万円まで膨れあがる(表1)。

主な財産は自宅などの不動産で、預貯金等が少ない場合、納税資金が用意できない事態も想定される。納税のために、承継した不動産の売却を余儀なくされるケースもありうるのだ。

贈与の検討も含めた準備が大切

相続税の増税で注目されるのが、生前に財産を受け渡す、いわゆる生前贈与という方法だ。贈与には贈与税が課税されることになり、相続税の改正時には贈与税の改正も行われる。

現行では1000万円超の贈与に対して50%という高い税率がかかっているが、改正後は1000万~1500万円は5%低くなり、3000万円超は5%高くなる。また、父母や祖父母から20歳以上の人が贈与を受けた場合、一定額まで税率が引き下げられる。つまり、高額な贈与に対しては増税を行いつつ、子や孫などの若年世代への資産の移転を促進しようという意図がうかがえる。

贈与を検討する場合はもちろん、相続が開始してからあわてないためにも、まずは事前に財産の内容をきちんと把握しておく必要があるだろう。そのうえで、相続税がかかるかどうかを確認し、納税の可能性がある場合は、節税対策を視野に入れた準備を進めたい。家族間で協力し、円滑な相続を実現するため、相続税の改正を機に相続について話し合うところから始めるとよいだろう。

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