「ニトリ」躍進の背景にあった業務改革の全容 IT活用を加速させた「アンバサダー制度」
「お、ねだん以上。」のキャッチフレーズで有名な家具販売大手の「ニトリホールディングス」。中国や米国などのグローバル市場を含めると576店舗(2019年2月20日現在)を展開、32期連続増収増益と業績は右肩上がりだ。消費者のライフスタイルが多様化し、大型家具の販売が低迷する中、同社はなぜ躍進を続けられるのか。同社情報システム改革室 室長の荒井俊典氏は次のように語る。
「ニトリは製造小売業と捉えられがちですが、実は物流機能を持っていることが強みなんです。基幹システムや物流管理システムに関しても、数百人態勢の情報システム部門が自社開発をしてきました。商品の企画や原材料の調達から、製造・物流・販売に至るまでの一連の過程を、グループ全体でプロデュースするビジネスモデルで企業成長を図ってきました。徹底した”自前主義”が根底にあるんです」
広範なサプライチェーン形成で高まる業務改革の必要性
マットレス1つをとっても自社で製造するほど、国内外で広範なサプライチェーンを形成。それ故、業務改善活動は企業成長の重要なファクターとなる。
同社では、2012年から「Microsoft Office 365」を導入し、モバイルデバイスからの社内システムへのアクセスや、「Microsoft SharePoint」で部門ごとに立ち上げるポータルサイトなどによって、業務改革が進められてきた。一方で、日々アップデートや新規機能のリリースがあるクラウドのメリットを生かしきれていなかったという。
「『タスク管理ツールがあれば、使ってみたい』とか『チャット機能があれば業務改善につながる』と考える社員が8割以上もいるのに、実際に『Office 365』のタスク管理機能である『Microsoft Planner』やチャット機能のある『Microsoft Teams』の利用者は、18年の5月時点で1割程度しかいない状態でした」と語るのは、同社情報システム改革室の玉山久義氏。