アメリカ西海岸を席巻する「激安スーパー」の凄み

2019年6月上場のグローサリー・アウトレット

グローサリー・アウトレットのサンフランシスコにある店舗(写真:iStock/Andrei Stanescu)

『米国会社四季報』には、読者の方々から「アメリカの有名でない会社を初めて知ることができてよかった」といった声をいただく。そこで、本記事では日本であまり知られていないニッチな会社でも、増収増益を続けるアメリカの会社を分析する。

社名はグローサリー・アウトレット。1946年創業の老舗で、日用品・食品など幅広く取り扱うスーパーマーケットだ。サンフランシスコで、軍の余剰在庫を値引き販売したのが出発点だ。西海岸を中心に約300店を運営する。そして、このご時世にEコマース(ネット通販)をやっていない。アマゾンがEコマースやデータを武器に席巻する小売業界のなかで、顧客は何を求めて「古い」スーパーに足を運ぶのだろうか。

日本のドンキのような激安スーパー

グローサリー・アウトレットの主力はアウトレット商品だ。有名なナショナルブランドを40~70%の大幅値引きで売る。投資家向け資料の冒頭には、「ようこそ、至福のバーゲンの世界へ」という見出しのまわりを、きれいな蝶々が群れをなして羽ばたいている。

『米国会社四季報』2019年秋冬号は現在発売中。書影をクリックすると東洋経済のストアサイトにジャンプします

ホームページには、顧客が年間にいくら節約したかという数字が誇らしげに表示される。つまり、武器はお手頃な値段の商品と得した気分にさせる顧客体験だ。

この点では、激安の目玉商品で集客し、あふれんばかりの商品を雑然とディスプレイし、宝探しのようなわくわく感を体験させる日本のディスカウントストア、ドン・キホーテとも共通する。

家族経営で発展してきたが、2014年にH&Fプライベートファンドが出資。2019年6月に上場した。2018年度の売上高は22億9000万ドルで純利益は1590万ドル。店舗はフランチャイズ形式で拡大してきた。

次ページグローサリー・アウトレットはなぜ安い?
マーケットの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • ポストコロナのメガ地経学ーパワー・バランス/世界秩序/文明
  • 最新の週刊東洋経済
  • 近代日本を創造したリアリスト 大久保利通の正体
  • 賃金・生涯給料ランキング
トレンドライブラリーAD
人気の動画
ウエルシアがイオンと挑む「ドラッグストア飽和」打破の勝算
ウエルシアがイオンと挑む「ドラッグストア飽和」打破の勝算
東芝、会社「3分割」に残る懸念
東芝、会社「3分割」に残る懸念
約10年で3000店が消滅、「町の本屋」の切実事情
約10年で3000店が消滅、「町の本屋」の切実事情
企業同士の取引で「値上げラッシュ」が起きている
企業同士の取引で「値上げラッシュ」が起きている
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
「非財務」で生きる会社、死ぬ<br>会社 企業価値の新常識

今や株価を決める最大の要因は「非財務情報」というのが世界の常識に。優れた開示を行えば企業価値の向上につながる一方で、開示が不十分だと株を売られるリスクも。企業価値の新常識をめぐる混乱とその対処法に迫りました。

東洋経済education×ICT