新たなスタンダード「システム建築」の使命 建設業界が抱える構造不況がますます深刻化
地域のビルダーの提案営業を支援する独自のツール
高品質な建物が短工期と低コストで実現する「yess建築」のメリットが改めて注目されているのだろう。施主企業の中には横河システム建築のホームページなどを見て、直接連絡してくるところもあるという。それに対して髙柳氏は「在来工法に比べれば新しい技術なだけに、とくに地方ではまだ『yess建築』をご存じでないお客様もいらっしゃいます。知名度アップが急務です」と話す。
そのために、地方局でのテレビCMも準備中だという。撮影にあたっては女優・俳優をオーディションで起用し、新進の女性シンガーソングライターにオリジナルCMソングの作詞・作曲を依頼したほどだ。
「地方では、施主となる企業も中堅中小企業が多く、また経営者の高齢化も進んでいます。デジタル・モバイルの時代ではありますが、これらの企業の経営者などに訴求できるのは、やはりテレビだと考えました。また、これらの企業のニーズを熟知しているのは、やはり地元に根付いた販売会社や建設会社です。地元のビルダーの営業活動の支援となる仕組みをつくりたいと考えました」と髙柳氏はその狙いを話す。
現在、ビルダーの数は北海道から沖縄まで全国約1150社。ただ、ビルダー自身も中堅中小企業がほとんどで人的リソースには限りがある。
「提案営業が苦手だというビルダーも少なくありません。だったら、そこも当社がお手伝いすればいいと考えました」(髙柳氏)
例えばその1つが、ビルダーが共同運営するインターネットサイト「yessビルダーズネット」だ。システム建築で工場や倉庫を建てたいと考える企業に対して、施工事例などを含むさまざまな情報提供を行っているほか、地域や建物の大きさなど、簡単な条件を入力するだけで参考価格が算出できるシステムも用意されている。さらにサイトを通じて相談ができ、地元のビルダーも紹介してくれるという。
「大切なのは、施主であるお客様の目線で情報を提供すること」と髙柳氏は念を押す。例えば、「yess建築」のサイトでは、事例の多くが、ドローン(小型無人機)を利用した空撮や360度パノラマVR(仮想現実)などで撮影されている。これなら建築に詳しくない企業の経営者にも理解しやすいだろう。
さらに注目すべきツールもある。同社の「yess見積3D」システムだ。マウスのドラッグ&ドロップや表示されたメニューから選ぶだけで用途に合った建物を3Dパースで提案することが可能だ。営業担当者でもこれらの業務が可能で、ノートパソコンを持参すれば、お客様の要望に応じて、目の前で寸法や建具配置、外壁色の変更なども簡単にできるという。もちろん、シミュレーションだけでなく、この「yess見積3D」から、見積書やフレーミング(骨組)プラン図を作成することも可能だ。