新たなスタンダード「システム建築」の使命 建設業界が抱える構造不況がますます深刻化
高品質・短工期・低コストシステム建築「yess建築」
「お客様(施主)からシステム建築『yess建築』の引き合いが急速に増えているにもかかわらず、部材を供給することができず、ビルダーの皆さんには受注を止めてもらっていました」と髙柳氏は振り返る。
なぜ、「yess建築」が人気なのか。システム建築は、鉄骨、屋根、外壁、建具などの部材を標準化することにより高品質な建物が短工期、低コストで建築できるのが大きな特長だ。といっても、設計の自由度は高い。中でも「yess建築」なら1ミリピッチで、建物の幅、長さ、高さなどを設定でき、要望に応じて天井クレーンの設置なども可能だ。最大60メートルもの無柱スパンに対応できるのも「yess建築」ならではだ。
受注制限を行ったことは同社にとって商機を逸したことになるが「それもさることながら、ビルダーの皆さんのビジネスチャンスを逃すことになったのが本当に申し訳ない」と髙柳氏は残念そうに語る。
鉄骨の製造が遅れただけでそれほど深刻な影響が出るのかと疑問に思う人もいるだろう、それに対して髙柳氏は「鉄骨だけでなく、ハイテンションボルトがないだけで現場が進まなくなります。日本の建設現場はきわめて深刻な状況になっています」と話す。ハイテンションボルト(高力ボルト)は、強い締め付け力が求められる鉄骨造の建物や橋梁などの建設には欠かせない。だが、都心の再開発や物流施設・生産工場の新設などにより品薄となり、建設現場にボルトが足りないという現象が起きているという。
「工場や倉庫の建設需要が高いにもかかわらず、部材がないため鉄骨造では建築できなかったケースもあったと聞きました」(髙柳氏)
その点でも頼りになるのが「yess建築」だ。「『yess建築』は、応力勾配に沿った設計により、軽量化が可能です。部材点数も少なく、ハイテンションボルトも使用量は在来工法に比べて少なくて済むのです」というから驚く。
ちなみに、9月に稼働する「茂原工場」(延床面積3万平方メートル)ほどの大規模な工場を在来工法で建設すれば1年半~2年ほどかかることも珍しくないが、建屋を自社の「yess建築」で建設したところ、基礎工事完了後、わずか6カ月(計9カ月)という短期間で完成したという。