新たなスタンダード「システム建築」の使命 建設業界が抱える構造不況がますます深刻化
「茂原工場」が始動生産能力が2倍に
「ようやく新工場が完成します。全国のビルダーに対して、『yess建築』をどんどんお客様に提案し受注してくださいと言うことができるようになります」と話すのは、横河システム建築 常務取締役の髙柳隆氏だ。10年以上にわたり同社の営業部門の責任者を務め、着工面積、シェアの拡大を実現してきた立役者である。ビルダーとは同社と提携する、地域の建設会社などの販売・施工代理店を指す。
新工場が建設中なのは千葉県茂原市の「茂原にいはる工業団地」。圏央道「茂原北IC」から約2.5キロメートルという好立地だ。2019年9月にはここで、敷地面積11万平方メートル、延床面積3万平方メートルという巨大な工場が稼働する予定だ。
「茂原工場」は、新たな鉄骨製造ライン工場だ。同社はすでに千葉県袖ケ浦市にシステム建築専用の「千葉工場」を有しているが、「茂原工場」が稼働することで、生産能力は現在の約2倍に増強できるという。だが、髙柳氏には笑顔は見られない。
「システム建築のリーディングカンパニーとして、当社が率先してキャパシティーを広げ、ビルダーをはじめとする建設業界の皆さんが活動できるように支援しなければなりません。それが当社の社会貢献であり、使命だと感じています」
大きなテーマに挑むように聞こえるが、同社にとってそれは最近の話ではない。横河ブリッジホールディングスの創業者・横河民輔氏は「社会公共への奉仕と健全経営」を基本理念とし、「誠実であれ、よいものをつくれ」という思想のもと、「鉄骨建築の先駆者」として、わが国初の鉄骨建築「旧・三井本館」を設計したほか、初代の帝国劇場や日本橋三越本店なども手がけてきた。110年以上にわたって培ってきた歴史と伝統、そしてDNAが今も同社に受け継がれている。
「だからこそ、当社が茂原工場を早急に造らなければならなかったのです」と髙柳氏が力を込める理由はそこにある。大げさでなく、同社の新工場稼働が全国のビルダーの経営に大きな影響を与えるからだ。