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ライフ #ボクらは「貧困強制社会」を生きている

「高学歴ワーキングプア」39歳独身男性の悲哀 都内の大学で客員教授だが、月収は15万円

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一度失敗すると、再チャレンジする場がなくなると嘆くマコトさん。今は都内の大学の客員教授として月収15万円足らずの生活をおくっている(筆者撮影)
現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。

今回紹介するのは「大学教員になってしまったがためのキャリアの断絶もあり、再就職活動に悩んでいます」と編集部にメールをくれた、39歳の男性だ。

席に着くなり、矢継ぎ早に話を始めた

都内の有名私大を卒業後、大手銀行に就職したものの、双極性障害の父親のせいで退職に追い込まれたこと。最近まで、大阪の大学で専任講師をしていたが、母親の手術のため、東京に戻らざるをえなかったこと。「知的に遅れのある」兄の行く末が心配だということ。現在は都内の大学で客員教授をしており、月収は15万円足らずであること――。

マコトさん(39歳、仮名)は喫茶店の席に着くなり、話を始めた。口が付けらないままのアイスティーのグラスが次第に汗ばんでいく。そしてこう言うと、ようやく一息ついた。

「私のキャリアは家族のせいで失われました」

珍しいな、と思った。本連載で話を聞かせてくれる人の多くは最初、口が重い。自分はどのように書かれるのか、取材を受けたことが周囲にばれるのではないか――。まずはそうした疑問や不安を口にした後、ようやくぽつりぽつりと自らの人生を語り始める。

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初対面の人間に自らの貧困について話すのだから、慎重になるのは当然のことだ。マコトさんのように、こちらが尋ねる前に、デリケートな家族関係にまで踏み込んだエピソードを、矢継ぎ早にしてくれる人は、多くはない。

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【ただ、話には“ほころび”も…】

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