研究開発力で挑む革新的新薬の創製 世界に挑む創業300年企業の戦略

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さらに成長戦略の3つ目として注力するのが、「海外への挑戦」だ。長年国内市場を中心に事業を展開してきただけに、強大な海外市場への進出は、飛躍的な成長につながる可能性を秘めている。これまで海外での販売はパートナー企業に委ねてきたが、現在同社が目指すのは海外での自社販売だ。すでに韓国、台湾では自社販売を開始。アジアを足がかりに、最大マーケットである米国・欧州での自社販売を狙う。「自社販売に向けては、まず各地に臨床開発拠点を設置し、現地で承認申請まで行える体制を整備することが必要です。競争力のある新薬候補化合物を絞り込み、欧米への進出に向けて第一歩を踏み出そうとしているところです」

ESG経営を推進しグローバルに存在感を示す

グローバル市場で存在感を発揮していくためには、企業経営もグローバルスタンダードに沿っていく必要がある。とくに近年は、企業の長期的な成長の可能性をはかる際にESGが重視される傾向が強まっている。同社でも成長戦略の4つ目の「企業基盤の強化」として、長期的な視点での持続的成長を目指し、ESGを重視した経営を進めている。

2015年に国連サミットで国際社会共通の目標として採択された、持続可能な開発目標(SDGs)の17項目の中の3項目を重点項目に定めて取り組んでいる。2018年度には、気候変動に対する活動を評価するCDP2018において最高評価である「CDP気候変動Aリスト」に選定されたほか、世界で代表的な責任投資指数とされる「FTSE4Good Index Series」、「FTSE Blossom Japan Index」にも銘柄が採用されるなど、外部評価も高まっている。

「外部評価の獲得を通じて、国内外の投資家への訴求力を高めるとともに、国際的なブランド力も高めることで、優れた人財の獲得にも役立つことが期待できる」と語った相良氏。同社では、ダイバーシティへの取り組みとして、人種や国籍、性別やキャリアはもちろんのこと、さまざまな人財がいきいきと働けることが多様化であると考え、ダイバーシティ向上への取り組みを進めている。さまざまな価値観や豊かな個性が切磋琢磨する環境で、イノベーションが生まれる土壌が育まれている。

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