本気を引き出し、本気で応える
未来を育む濃密な時間
麗澤大学
学長インタビュー
知徳一体で養う人間力が長い人生の糧になる
―― 人間教育を大切にする麗澤大学の理念はどのようなものでしょう。
中山 創立者の廣池千九郎は「知徳一体」を教育理念に掲げています。戦後教育は体育と知育に傾斜してきましたが、それでは知識が悪用されることにもつながるので、個人が道徳的価値観を持つことも欠かせません。特に、今の日本が迎えている経済・社会的曲がり角を乗り越えるには、道徳を含めた知の再構築をして国全体の力を取り戻す必要があります。
―― 「道徳科学」を必修として教養教育を充実させていますね。
中山 道徳に科学的なアプローチを行う道徳科学、「モラロジー」に基づく教育を展開しています。道徳教育は、品性教育の一環として海外でも行われているので、米・ボストン大学などと学術提携もしています。
―― 道徳教育の理念は、人間教育と、どう結び付くのでしょう。
中山 道徳の本質は、自分、他者、そして第三者のいずれにもプラスとなる“三方よし"の良好な関係を築くことにあります。人との関係構築は、部活動や寮生活などを通じて経験の中で学ぶ必要があります。だからこそ、リーダー研修やグローバル・ドミトリーの充実を図っているのです。
―― これからはグローバル化への対応も重要ですね。
中山 人材競争の相手もグローバル化して、外国の学生もライバルになることで、競争が激しくなると、学生への影響は大きいでしょう。本学卒業生には大手メーカーの海外法人社長など、世界的に活躍する人も少なくないのですが、彼らと会って感じるのは、語学力だけでなく、人との関係を構築する人間力の重要性です。それは麗澤の教育のテーマになっています。海外留学には、過去30年で計約4500人の学生を送り出してきましたが、これから海外体験はますます大事になるでしょう。
―― 大学に入ってから学生がどれだけ伸びるか、という「伸差値」の重要性も強調されています。
中山 2010年の金融経済分野のコンテスト「日銀グランプリ」では本学の学生が、東京大学などと競って最優秀賞を獲得しました。学生のやる気をうまく引き出せば、人間力、学力の両方を大きく伸ばすことができます。OBの私自身も、麗澤で学問の面白さを初めて知った一人です。人は誰かに支えられ、見守られていると感じた時にやる気を出せます。それには、麗澤の家族的雰囲気が力を与えてくれるはずです。
―― 麗澤で学ぶ学生が、どう育って欲しいとお考えですか。
中山 われわれは、学生が幸福で充実した人生を歩んでもらうため、岩盤にノミで刻みつける真剣さで教育にあたります。ここで、長い人生の糧になる知と徳をつかんでほしい。それは企業、社会にとってもプラスであると信じています。