本気を引き出し、本気で応える
未来を育む濃密な時間
麗澤大学
学生の人間力を培う
麗澤教育の仕組み
なぜ、麗澤大学は黒田さんのような学生の本気を引き出せるのか。その理由は、教育者・社会啓蒙家の廣池千九郎(法学博士)が前身の道徳科学専攻塾を1935(昭和10)年に創立して以来、受け継がれる教育観にある。
学生相談センター長を兼務して、毎週火曜には深夜0時前まで学生の相談に応じている井出元・学長補佐は「教育には、知識を植え付ける『教』と、人を育む『育』の両面が必要です。今の教育は答えを教えるばかりで、『育』に欠けます。悩む学生に、場やヒントを与え、自分で考えさせるプロセスが大切です」と語る。
大学生の社会人基礎力、人間力が問われる今、大学はその教育のあり方を見直すべき時期に来ている。人間力は上から教えて身につくものではない。人を育む伝統を持つ麗澤大学の取り組みは示唆に富んでいる。
その一つが、リーダーセミナーだ。井出学長補佐の下には、部活動やサークル活動の運営に悩む部長たちの相談も多い。そこで毎年春に学内約60人の部長を一堂に集め、群馬県谷川温泉の大学セミナーハウスで2泊3日のセミナーを開催。目指すべきリーダー像について話し合う。また、学生寮のユニット・リーダーについても同様に開催される。
麗澤のリーダーセミナーがユニークなのは、部長らが任期を終える年末に再び研修を行う点だ。そこでは来期のリーダーへのメッセージをまとめるというテーマを課し、自身のリーダーシップを客観的に振り返る機会を与える。さらに、メッセージは翌年春のリーダーセミナーの際に伝えられ、次期リーダーの教訓になり、学年を超えた縦の関係も構築される。