河瀬監督「メールより絶対会いに行く」 デジタル時代にこそ「時間と空間を共有」

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清水グローバルスタディーズ学科は語学に力を入れていて、TOEIC®730点以上が卒業要件です。ですが、河瀬さんのおっしゃるとおり、自分が伝えたいものについて、どれだけ情熱を持って相手に真摯に向き合って伝えられるのかが重要です。その訓練をしていく中で、結果的に語学力が上がっていくのが理想です。

河瀬 心の中の思いを正直に打ち明けられる関係性がつくれるかどうかも重要ですね。学生時代にそのような関係性をつくる体験を多くしてほしいですね。そうすれば人間力は上がるし、将来、自分の行きたい道に進めるんじゃないでしょうか。

ゴールをつくらず「場」を提供することの意味

清水 河瀬さんは「なら国際映画祭」でエグゼクティブディレクターを務めていらっしゃいます。若い世代を育てることについて、どうお考えですか。

河瀬 「なら国際映画祭」では、そこに行けばみんなと会えて話ができる「場」をつくって、コンペに参加する監督たちに提供しています。場で話が盛り上がれば、次のプログラムの入口になることもありますし。場をつくっておけば、あとはそうした場は生き物なので、何かが起こります。前回からユース部門のワークショップもつくりましたが、そこで大切にしているのは、大人が手出し口出ししないこと。危険な目に遭わないようにフォローはするけど、基本はカメラを持たせて放置です。

清水 いいですね。実はコンセプトは僕たちも同じです。グローバルスタディーズ学科では、こういう学生を育てるというゴールをあえてつくっていません。理想像を学生に押しつけると、ほかの可能性を奪うことになります。大学は、あくまでも「場」を提供するだけ。あとは自由に好きなことをやってほしいなと。もちろん私なりに、優しい人になってほしい、そのために海外に出て力をつけてほしいという願いはあります。ですが、教員から学生に「海外に行け」とは言いません。ただ、同じ学科の教員たちが意識しているのは、まず自分たちが海外に出ていくこと。教員が国際的に活躍していれば、学生もその背中を見て「自分も行きたい」と思うはずです。学生たちが自然にそう感じるように、教員側にも厳しい評価システムを取り入れて、日々切磋琢磨(せっさたくま)しています。

河瀬 私が学生なら、先生たちが自信を持ってご自身の研究をされている大学に行きたいと思います。お話しさせていただいて、先生もそうなさっていることがわかりました。

清水 ありがとうございます。学生にもそう思ってもらえるように、自分を磨きながら、いい「場」をつくっていきたいと思います。

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