デルが「大阪進出」に本気になった理由 中堅企業の課題解決策を構築し、全国展開へ

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中堅企業と正面から向き合いサポートしたいという思い

同社の大阪における取り組みをさらに詳しく見てみよう。

インサイドセールスの拠点だけではなく、中堅企業市場開発センターも設立したのは、営業だけではなくマーケティング機能や企画機能もセットにして進出したことを意味する。同センターは関東を除くすべてのエリアをサポートしており、全国の市場調査や顧客カルテに関するビッグデータの収集・解析から顧客に向けたコンテンツの制作・発信まで、大阪を中心にワンストップで行うことができるのだ。

「全国各地で開催しているセキュリティセミナーや、大阪のお客様向けのセミナーやワークショップは大変ご好評いただいております。ひとり情シスに限らず、IT担当者は非常に忙しくトレーニングの機会も同業と知り合う機会も少ないのですが、セミナーやワークショップを通してお客様同士がつながり、情報交換をするよいきっかけにもなっているようです」

中堅企業ITシンクタンクでは、BCP(事業継続計画)や働き方改革、労務管理などのIT寄りのものから、マーケティングやグローバル展開、事業承継などの経営寄りのものまで、中堅企業が抱えるさまざまな課題を扱う。各分野の専門家である研究員がそうした課題の解決に取り組み、そこで構築した解決策を全国の課題解決にも生かしていくという。きめ細かなサービスを展開するため、中堅企業の経営者やIT担当者の悩みなどに一問一答形式で答えるサイトの立ち上げも検討している。

大阪進出には同社自身のメリットもある。

近年、全国各地で地震や台風などの自然災害による被害が繰り返し発生している。これが東京で起きた場合のことを考えると、BCPの観点から、複数の拠点を設けたことによるメリットは大きい。

また、大阪では市場分析やマーケティング業務に関する求人が少ないうえ、外資系IT企業に就職する機会も減少しているため、優秀な人材を獲得しやすいというメリットも得られる。同社は大阪の人員増強を継続するとともに、大阪をはじめとする近畿エリアの人材を積極活用しようとしており、IT業界で挑戦したい人にとっては朗報だろう。

さらに、東京で勤務する社員を幹部候補として商売の本場ともいわれる大阪に送り込むことで、会社にとっては人材育成、本人にとってはキャリアアップのよい機会になっているという。

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