デルが「大阪進出」に本気になった理由 中堅企業の課題解決策を構築し、全国展開へ

PC市場でのシェア拡大と「ひとり情シス」支援戦略
PCをはじめサーバーやクラウド、IT・情報システム全般にわたって幅広いサービスを提供しているデルは、電話やメールを活用したインサイドセールスで業績を伸ばしてきた。とりわけ、従業員数100人以上1000人未満の中堅企業市場で存在感を示している。

『平成26 年経済センサス-基礎調査結果』(総務省統計局)を基にデルが作成
同社では広域営業統括本部が中堅企業への営業を担当。国内の中堅企業約4万7000社(教育、医療系を除く)のうち、約6割が顧客で、好調なパソコン販売は2016年第3四半期から18年第3四半期までの2年足らずの間に、シェアが15%から25%へと10ポイントも増加した(※)。
その背景にあるのは、情報システム部の機能を丸ごと1人だけで担っている「ひとり情シス」問題だ。同本部で本部長を務める清水博氏は次のように語る。
「われわれは、社員がお客様とダイレクトにコミュニケーションしますので、お客様が相談しづらい秘匿性の高いものも含まれます。そのような関係性の中で『うちはIT担当者が1人しかいない』とか『他社では情シス要員をどうやって確保しているのか』といった相談が数多く寄せられていたため、17年に中堅企業の大規模調査を実施したところ、情シス担当者が1人以下の企業が27%にも上るということがわかりました。18年には4ポイント上昇、19年にはさらに7ポイント上昇しました」
決して悲観することばかりではないが、企業の情報システムを1人で切り盛りするひとり情シスは、幅広い課題・要望に対応しなければならず、多忙を極めているという。
こうした中で、同社はひとり情シス問題を提起するとともに、その解決を支援するソリューションを提供した結果、中堅企業向けPC販売で大いに伸長したのである。
※IDC PCD Tracker (PC Pivot)_FinalHistoricalDatabase_2018Q3(100~999人の企業)