「CX戦略」強化における経営の役割 CXフォーラム2018

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特別講演I
挑戦魂(チャレンジスピリット)!
グローバルで一気通貫したCX戦略によるビジネス革新

マツダ
カスタマーサービス本部 副本部長
村上 浩

マツダの村上浩氏は、この2年半のCXへの取り組みについて話した。モノづくりと販売、サービスをつないだ変革を推進する「MDI(マツダ・デジタル・イノベーション)」プロジェクトの主要な柱としてCXに着手。まず、グループ内で先進的なCXを実現している国のプロセスを可視化したものを基に、主要国のマーケティング、セールス、サービス、IT部門の責任者が、グループ理想のジャーニー「グローバル・マスター・CXマップ」を策定した。マップは21シーンの顧客接点や、実現したい顧客感情、具体的なソリューションなどで構成。これを基本に、各国の主体性を尊重して各国最適な理想のCX実現をグローバルで進める。カナダでの取り組みを例に「当初は懐疑的だった社員が徐々に本気になってきた」と手応えを口にした。また「顧客に価値を届けられるのは人しかいない」という考えの下、顧客接点のスタッフを全社で支援する意識を浸透。「理想のCXを通じ、お客様や社会と強い絆で結ばれたブランドを目指す」と語った。

講演IV
人とICTが提供するCX
~顧客接点デザインのヒント~

富士通コミュニケーションサービス
サービスイノベーション推進統括部
課長代理 兼 経営戦略室員
横田 喜子

富士通コミュニケーションサービスの横田喜子氏は、スマートフォンやPCの反復購買、他社流出への影響因子に関する調査から、カスタマーエンゲージメントはNPSだけでは説明できず、スイッチングコストや、有人サービスの顧客接点で感じた親しみなどの人的影響を示す、同社の独自指標「HC‐X(ヒューマン・コンタクト・エクスペリエンス)」の影響が大きいとする結果を示した。チャネルデザインの施策では、ウェブやチャットボット、有人チャットやメール、電話や対面といったチャネルごとに、スピード、情報量、心情理解などへの期待値が異なるとして、それぞれのチャネルに対する顧客の期待値を把握、それに沿ってサービスレベルを設計する。また、チャネル間で顧客への回答に齟齬(そご)を来さないよう、カスタマージャーニーに沿ってサービスを点検することを勧めた。ICTと人が融合したプロセスになる中で「全体をコーディネートするのは人の役割」と訴えた。

特別講演II
最高のサービスをお届けするために
~全ては“仮説力”~

アコム 代表取締役副社長
人事部・システム統轄部担当、
イノベーション企画特命担当
木下 政孝

アコムの木下政孝氏は、同社のCX調査について報告。同社サービスで痛点を感じた場合、それをコールセンターに伝え、その回答に満足した顧客の継続意向は76%と、痛点なしの46%を上回って最高だったという結果を説明。「ロイヤリティへの影響度を定量的に把握したことで、社内で取り組みの必要性への納得感が高まった」と述べ、申し出率向上へ、チャットの顧客接点を開設するとした。また、利用上限額と借入額を混同した顧客から「利用上限の選択肢は10万円からだが、3万円しか借りたくない」という問い合わせを受けたのをきっかけに「新規顧客が離脱している可能性」を想定して、上限額をプルダウンメニューの選択式から自由入力式に変えたところ、このポイントでの離脱率が3分の1になった事例に言及。「CX高度化には仮説力や情報収集力、検証力を持った人財が重要」と強調。CXの取り組みを従業員体験に広げ、従業員満足を高めたいという考えを示した。

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