少子化対策には妊よう性の知識も必要 低い日本人の妊娠への意識と理解

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EIUの報告書では、フランスなどの成功事例の秘訣に言及しながら、日本が出生率を上げるために必要と思われる次の五つの原則も提言している。

  1. 1:子どもを育てやすい国にする。

出生率の改善のみを目指すのではなく、ファミリーフレンドリーな社会を構築する。たとえば、ワークライフバランスを支援する政策や生活水準を引き上げる政策は、出生率の改善が第一の目的ではないにせよ、出生率に実質的な影響を与えることが多い。

  1. 2:出生率をあらゆる政策で考慮する。

単一の政策やプログラムでは出生率に与える影響がそれほど大きくない。したがって、政府は、家庭とARTを支援する包括的、一貫的、安定的な政策パッケージを策定すべきである。

  1. 3:テクノロジーを活用する。

前述したファミリーフレンドリー政策とともにARTへのアクセスを向上させる。具体策としてARTを健康保険の対象にするのもその一例である。

  1. 4:さらに資金を投入して子供を増やす。

福利厚生支出の対GDP比を引き上げる。資金を多く投入すれば、それだけ合計特殊出生率への影響も大きくなる。

  1. 5:出生率対策は投資とみなす。

ARTや家族政策の費用対効果分析の結果を見ると、不妊治療や家族支援への公共支出は費用というよりは、むしろ生涯にわたる投資とみなすべきである。

確かに今の日本、子どもを育てやすい国とは言いにくい。したがって、やみくもに出生率の改善を目指しても大きな効果は期待しにくいだろう。家庭の生活を向上させ、日本を結婚・出産のしやすい国にするには何をすればいいかを考えるべきだと報告書は指摘している。

また、単一の政策やプログラムでは出生率にそれほど大きな影響を与えることはできない。家庭とARTを支援する包括的・一貫的・安定的かつ十分な資金を投入した政策パッケージを策定すべきだとも提起している。

いずれにせよ、今のペースで少子化が進めば、労働人口は減り続け、納税人口も減り、この国は間違いなく疲弊する。そうならないようにするためにかかる費用は、なるほど社会的コストではなく社会的投資であろう。

とにかく日本の現状を知ること。そして不妊についての正しい知識を持つこと。少子化に歯止めをかけるには、それが第一歩となる。

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