好調「独立系デベロッパー」躍進狙う次の一手 タカラレーベン提唱「新常識」の住まいとは?
地域貢献の施策の一つが、「レーベンクラフト」プロジェクトである。同社がマンションを供給している地域の特産品を、都市部のマンションに住む人が独自のスマートフォン向けアプリを利用して購入できる仕組みだ。地域の活性化に貢献するとともに、都市のライフスタイルにも新しい価値を提供することにつながっている。そのほかにも、震災復興イベント「ツール・ド・東北」「東北・みやぎ復興マラソン」の協賛や、プロサッカーチーム「カターレ富山」の協賛、各地のお祭りやイベントなど、同社がつながりをもつ地域のイベントやスポーツ、文化のサポートを積極的に行っている。
さらに、自治体と組んだ地域の再開発の提案も力を入れている分野だ。地方都市の多くは中心市街地の活性化が大きな課題になっていて、その分野はデベロッパーとして力になれる部分でもあるという。
「地域の課題を解決する社会貢献であるとともに、一つのビジネスチャンスともとらえています。」(島田氏)
今後の新築分譲マンション市場の可能性
人口減少や少子高齢化、そして増え続ける空き家の問題など、住宅産業を取り巻く環境は厳しいといわれている。その中で、確実に成長を続ける同社のメインブランド「LEBEN」、都市部の単身者・DINKS向けコンパクトマンション「NEBEL」の役割はどういったものなのだろうか。
「当社として、家族みんながいつまでも安心して安全に快適に暮らせる住まい『LEBEN』を安定的にしっかり供給し続けるということが当社の根幹であることは変わりません。それとともに、新しいニーズとして増えていくことが予想されるのが『NEBEL』です。コンパクトマンションの需要は何も都市部に限ったことではありませんし、若い世代だけでなく高齢単身者もいっそう増えていきます。マーケット、ニーズの変化を見据えながら、より時代に合った住まいを提供していくことが当社の使命であると思っています。」
不動産業界では一つの節目になるともいわれている2020年まであと2年。そしてタカラレーベンは創業50周年という大きな節目を2022年に迎える。
「事業を拡大していく方向ではありますが、やはり当社にとって最も大きいのは新築分譲マンション事業です。新築分譲マンションは来期においても1700戸、一戸建て分譲住宅は190戸の引き渡しを計画しています。さらに、中古マンションのリニューアル再販事業、流動化事業も市場動向に合わせて展開していく予定です。この10年でマンションの価値も市場も驚くほど様変わりしました。今後も間違いなく価値観が大きく変わっていくマーケットに対してライフスタイルの新常識をつくり、創業50周年に向けて邁進していきます。」
同社では創業50周年に向けて、新たに『ライフスタイルに、新常識を。』というスローガンを掲げる。同社は今後どのような新しい価値を創造し、新しい常識を提案してゆくのか。地域や社会をより良い方向へ導いてくれる新しいライフスタイルの新常識を期待したい。
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