四つの視点から迫る「真」の働き方改革 Work Style Innovation Conference

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自動化・省力化
IBMが提唱する
エンタープライズ・オートメーション戦略
-想定したほど効果がでない導入に共通する要因とは?-

日本アイ・ビー・エム
グローバル・ビジネス・サービス事業 エンタープライズ・オートメーション
理事 パートナー
黒田 恭司 氏

IBMの黒田恭司氏は「グローバルで、RPAプロジェクトの50%が失敗するといわれる」として、本格導入に進めない、期待した人件費削減ができない、といった課題に言及した。背景には、中長期的なゴールの欠如やリーダーの不在、期待と現実のギャップがあるとして、自動化戦略の立案、推進役となるCoE(組織横断的専門家集団)の設立、PoC(概念実証)で効果を確認しながらスモールスタート、の二つを成功のポイントに挙げた。RPAには不向きな作業もあり「自動化する業務を考え、ロボットが仕事がしやすいように業務プロセス全体を見直さなければ、効果は限定的になる」と指摘。東京・箱崎の同社本社に開設した、自動化の体感・戦略立案の場を紹介した。

自動化、RPAとAIの活用
働き方改革の決め手!
AI+API+BPM+RPAで業務パフォーマンス改革

日本アイ・ビー・エム
クラウド・ソフトウェア事業部
シニア・コンサルティング・ITスペシャリスト
中村 航一 氏

IBMの中村航一氏は、業務パフォーマンス改善の技術要素として、顧客接点のアプリに使われるAPI、業務を継続的に改善するBPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)、RPA、意思決定を自動化するAIなどを挙げ、「要素の組み合わせで、真のデジタルレイバーを実現したい」と語った。RPAについては、管理されていない「野良ロボ」発生を防ぐサーバー型RPAや、効果を高めるためにBPMによって業務フローのボトルネックを解消してから、RPAを導入することを推奨。また、API公開で増加した銀行口座開設申し込み処理自動化の業務改革ケースをデモ。BPMツールの「ブルーワークス・ライブ」を使って業務フローを再設計する、オートメーション戦略を具体的に説明した。

自動化、RPAとOCR活用事例
RPAの落とし穴!
事例に見る紙のデジタル化成功パターン

日本アイ・ビー・エム
クラウド・ソフトウェア事業部 クライアント・ソリューション・プロフェッショナルズ
栗原 淳圭 氏

IBMの栗原淳圭氏は「RPA導入に伴い、紙ベースデータの手入力の負荷が顕著になる」と指摘し、「コグニティブ・キャプチャー・プラットフォーム」による自動化を紹介した。従来のOCR(光学文字認識)は、帳票のどこに、どんなデータがあるのかを示すテンプレートの事前定義が必要で、企業によって仕様が異なる帳票の読み取りは困難だった。そこで、OCRの前段階で、コグニティブ・キャプチャーにより、人間のように内容を把握させ、テンプレートなしでの読み取りを実現。RPAと組み合わせて、データチェックも自動化した。文字タイプごとに最適なOCRエンジンを使い分けるため、他社とも連携して認識精度を向上。すでに金融機関等で導入され「蓄積しているノウハウで支援できます」とアピールした。

ゲスト講演
人工知能時代の幸せな働き方
~組織の現場から見えるAI・RPA活用の現状と未来~

働きごこち研究所
代表取締役
ワークスタイルクリエイター
藤野 貴教 氏

藤野貴教氏は、AIやIoTなどのキーワードは知っていても、その意味を「自分の言葉で語れる人は限られ、企業間や個人間での情報格差が広がっています」と指摘。「まずテクノロジーのリテラシーを上げることが重要」と訴えた。「テクノロジーを知る」うえでは、「技術の基本を体感的に理解し、その使い方がわかることが重要」と強調。そうしたテクノロジー知識に「妄想、アイデア、業務知識を掛け合わせ、使い方を考えることでビジネスアイデアが生まれる」と述べた。組織、個人のパフォーマンス向上には、論理と直感のように「相反するものの塩梅(あんばい)が大切」と強調。テクノロジーに近づく一方、離れて瞑想や自然で心を豊かにするという双方を尊重した塩梅が「幸せな働き方のために必要」と語った。

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