
創業時からのビジネスモデルが成長の要
顧客満足につながる品ぞろえの強化が起点
バイスプレジデント
村井 良二
アマゾンのビジネスモデルでは、企業理念「地球上で最も豊富な品ぞろえ」を起点とした成長戦略が表現されている。まず、「品ぞろえ」を増やすことで、「顧客満足度」が高まり、「売り手の数」の増加につながる。そうした「成長」が、「低価格」での商品提供、さらなる「顧客満足度」の向上を可能にするという考え方である―。
アマゾンジャパン バイスプレジデントの村井良二氏は「現在でもそのコンセプトに変わりはありません。このビジネスモデルの根底には『お客様の満足』があります。お客様のお困り事は何なのか、何を提供すれば喜んでいただけるかを真剣に考え、愚直に実現してきた結果が現在につながっていると考えています」と語る。
テクノロジーパートナー部長
阿部 泰久
品ぞろえを支える商品カテゴリーの拡充もこのビジネスモデルにのっとったものだ。日本では書籍の販売からスタートしたが、以後、食品・飲料やファッションなどへと広がり、いずれも急成長している。また、電子書籍リーダーの「Kindle」、日用品をワンプッシュで注文できる「Amazon Dash Button」なども日本に定着した。
「アマゾン ウェブ サービス(AWS)もお客様の『お困り事』にお応えするサービスです。日本においてもすでに10万社以上のお客様にご利用いただいています」と、アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)テクノロジーパートナー部長の阿部泰久氏は説明する。
AWSはクラウド基盤サービスで、2006年に提供が開始された。阿部氏はこう続ける。「メガバンクなどの、大手金融機関でもAWSを採用されるケースが増えています。企業においてもクラウドやSaaSがスタンダードになりつつある手応えを感じています」

クラウドのメリットを享受できる
「Amazon SaaSストア」
SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)は、クラウド上でソフトウエア・アプリケーションを提供するサービスである。企業はサーバーを自前で用意する必要がないため、初期費用を抑えることができる。また、利用者はいつでも最新版のソフトウエアを割安な料金で使うことができるのが利点だ。
デジタルソフトウェア ビデオゲーム
プログラムマネージャー
白石 翔太
そして、アマゾンジャパンは、AWSとともに、18年5月、そのメリットを顧客が享受できる新たな取り組みをスタートさせた。「Amazon SaaSストア」である。 アマゾンジャパン デジタルソフトウェア ビデオゲーム プログラムマネージャーの白石翔太氏は次のように紹介する。
「『Amazon SaaSストア』は、クラウド上で提供するオンラインソフトウエアを専門に扱うストアです。オンライン上で必要な機能を必要なだけ利用できるだけでなく、SaaS商品の比較検討・購入・管理までがワンストップでできるのが大きな特長です」
ソフトウェア・ビデオゲーム事業
本部長
大石 圭介
白石氏によれば、SaaSのニーズが高まる一方で、事業部門が個別に購入して利用するため、情報システム部門などがその把握や管理に苦労するケースが増えているという。「Amazon SaaSストア」であれば、購入や管理もまとめて行うことができるので便利だ。
アマゾンジャパン ソフトウェア・ビデオゲーム事業本部長の大石圭介氏は、「Amazonでは、SaaS商品を提供するメーカーに対し、契約から開発・販売・決済、さらにはマーケティングなどを支援します。そのため、メーカー企業様にはコア業務に特化しながら、販売機会を拡大いただけます。お客様、メーカー、社会の『三方良し』の実現を目指しています」と語る。働き方改革などで効率的に企業活動をしたいというニーズにも応えるサービスになりそうだ。
社内で使用しているSaaSのライセンス管理を一元化
ナビタイムジャパン 経営推進部 小嶋 慶太氏
当社では、営業情報の共有、デザイン、メール、人事評価システム、グループウエア、チャット、名刺管理、福利厚生などさまざまなSaaSプロダクトを利用してきました。ただしこれまでは特定の部門で独自に購入していたり、SaaSと買い切りが混在していたりと、部門やプロダクトにより運用がまちまちであり、ライセンス数の把握、使用していないライセンスの棚卸しなどを定期的に行う必要があり、大きな労力となっていました。
一方で、更新が必要なプロダクトを放置していたため、使えなくなるといったこともあったり、それぞれのプロダクトごとに請求書が異なるため、経理処理上の手間もかかるなど問題が山積していたのです。
「Amazon SaaSストア」であれば、さまざまなプロダクトの比較検討、購入、管理が一元的にできるので助かります。購入の際は、慣れ親しんだAmazonの画面で購入できるだけでなく、決済がオンライン上で完了し、導入するまでの期間が1日以内で可能となります。それでいて、承認フローがあるなど、ビジネス契約としての機能はしっかりと備わっており、Amazon上で購入したほかの商品と一括で決済処理を行えるのも便利です。

「Amazon SaaSストア」を利用することで、全体最適の観点でSaaSプロダクトを検討できるとともに、特定の部門でテスト導入した後、全社展開するといったことも容易に行えるようになりました。これもクラウドだからできるメリットだと感じています。
Amazonのブランディングやプロモーションを存分に活用できる
代表取締役
水谷 好孝氏
『Brushup』は、2D、3D、動画、音楽など、さまざまなファイルをウェブブラウザやスマホアプリでプレビュー表示し、気になるところに手描きで書き込みそのままコメントができるレビューツールです。ゲームイラスト業界の企業様などをはじめ約3000社に利用していただいております。2017年度のグッドデザイン賞も受賞しました。
販売チャネルはこれまで、ウェブプロモーション・展示会(コンテンツ東京、東京ゲームショウ)などが中心でした。18年からは、販売代理店でも取り扱っていただいていますが、より認知度を上げていきたいと思っていたところ、「Amazon SaaSストア」がオープンすることを知りました。当社が「Amazon SaaSストア」に期待したのは、Amazonのブランディングとプロモーション力です。ゲームイラスト業界のみならず、出版、映像、さらには小売、教育など、これまで『Brushup』を知らなかった幅広い産業の企業に訴求できると考えています。
取締役
下田 祥嗣氏
また、当社には、毎月の請求・入金管理・督促というような業務を専門に行う部門がありません。こうしたことから、これまで『Brushup』の料金の決済方法は請求書払いのみでしたが、「Amazon SaaSストア」を利用することでクレジットカード払いにスムーズに対応できただけでなく、請求業務(決済、消し込み処理)を、「Amazon SaaSストア」に任せることができるのも助かっています。

「Amazon SaaSストア」は米国、英国など海外での販売にも対応しており、今後は『Brushup』を広く海外の企業に向けて販売することも計画しています。「Amazon SaaSストア」はこれからも頼りになるパートナーですね。
新たな事業の柱を生み出し、育てる場にしたい
当社は統合業務システム、CRM、SFA、受注管理システム、在庫管理システムなどの改善・効率化支援サービスなどを受託開発によって提供するシステムインテグレーターです。AWSパートナーではありますが、これまでパッケージソフトなどを販売した実績はありません。
技術担当執行役員
小田原 貴樹氏
当社を取り巻くビジネス環境を見ると、受託開発だけでは厳しさが増すことが予想されます。自社開発を含め、事業のポートフォリオを広げる必要があり、その一つとしてSaaSプロダクトの開発・販売を検討しました。当社には、自社で利用していたプロジェクト管理ツールがあったので、まずはこれをSaaSプロダクトとして製品化しようと考えました。
これをパッケージソフトで販売しようとすると製造原価など大きなリスクが生じますが、クラウドを利用すれば、「まず、売ってみる」といったことも容易にできます。さらに本格的に販売することになった時にも、その後のバージョンアップなどの対応を柔軟に行えます。
今後については、プロジェクト管理ツールに次ぐ新商品として、AI(人工知能)を活用したOCRソフトウエアの販売を予定しています。「Amazon SaaSストア」で商品を販売するためには、弊社システムとのデータ連携を行う必要がありますが、そのような技術的なことについても細かく対応してくれるのは助かります。

このほか、AWSのパートナーには、AIやIoT(モノのインターネット)などさまざまなテクノロジーを持つ企業がそろっているので、これらの企業とのコラボレーションによりシナジーを発揮できるのではないかと期待しています。
「Amazon SaaSストア」を利用して、リスクを抑えながら、当社の新規事業の柱を生み出し、 大きく育てていきたいと考えています。