日本型プライベートエクイティが変える経済 ハートのある投資で産業インフラとなる
岐阜県に本社のある信和は、仮設資材や物流機器を製造・提供する企業である。中でも、「システム足場」と呼ばれるカテゴリーでは国内トップクラスのシェアを誇る。18年3月には東証2部に上場、同6月には名証2部にも上場した。インテグラルは14年に同社の株式を譲り受け、複数の取締役も派遣してきた。
「システム足場」国内大手 信和の海外事業展開を支援
信和 代表取締役社長の山田博氏は次のように振り返る。「当社製品への需要は高まっており、収益も上がっていました。しかし、中長期の経営を考えると海外展開や足場以外の新規事業も必要です。多くの企業の価値向上を実現してきたインテグラルならそのあたりを支援してくれるのではないかと感じました」。
山田氏がそう語るように、インテグラルにはプロ経営者として企業経営の現場を自らリードしてきた人材が数多く参画している。実績のあるプロフェッショナルが、経営・財務の両面から投資先企業をサポートし、共に企業価値向上を目指すのである。むろん、理論だけでなく、独自の「i-Engine」機能により、現場業務を行いながら課題の発見・解決に取り組む。インテグラル アソシエイトの井出翔氏はこう話す。「私自身、全国の営業拠点や国内外の協力工場を回りました。その過程で、事業が順調に拡大している一方、在庫管理を中心に管理面でまだまだ改善の余地があると感じました。また、信和の海外事業担当者として実際にアジア各国を回り製品の営業も行いました」。まさに、海外事業の骨格を作るところまでインテグラルが手掛けたのである。
山田氏は「さらに、IPOにあたっては、公認会計士の資格を持つインテグラルのメンバーが丁寧にサポートしてくれました。当社のリソースだけでは、成功しなかったか、成功してももっと時間がかかっていたでしょう」と話す。
インテグラルは、経営、財務という、企業にとっての重要な構成要素に関するノウハウ・ 経験の複合体である。エクイティ投資、M&A、ファイナンスなどの領域で、日本の市場を切り開いてきた経験豊富な人材が結集している。井出氏は現在、常駐ではなくなったものの、山田氏は「今でも電話していろいろ相談しています」と笑顔で話す。インテグラルには投資先企業から「ずっといてほしい」と言われるメンバーが少なくないというのにも納得がいく。
3社の事例からはいずれも、『Trusted Investor=信頼できる資本家』を目指して独自の活動を続けるインテグラルの姿勢がうかがえる。「日本型PEファンド」として、日本経済を元気にするための産業インフラを目指す同社に引き続き注目したいところだ。
最後に、インテグラルが目指す未来について、共同で代表取締役パートナーを務める佐山展生氏と山本礼二郎氏に一言ずつもらった。
佐山 日本におけるPEファンドの活用は、壮大な規模で経済活性化に効用を発揮する欧米諸国に比較するとまだまだです。そのため私たちは2007年にインテグラルを創業してから、あるべき日本型PEを目指してきました。自己資金を提供する「ハイブリッド型投資」、自社メンバーを派遣する「i-Engine」、この2つのコミットを活用し、投資先の従業員を一番に大切にし、長期的な成長を遂げさせることで、結果としてファンドの投資家のみなさんにリターンをお返しすることが、われわれの考える日本型のプライベート・エクイティであり、インテグラルが目指すものです。
山本 今後の計画としては、引き続き、幅広い業種の日本企業に対し、成長・再成長・再生・事業承継・MBO・大企業からの独立といったあらゆる機会にソリューションを提供する日本型の投資を継続していきます。インテグラルならではの日本型PEファンドが選択肢として社会に定着することで、PEファンドが日本の産業インフラとして根づくよう、真摯に活動を継続していきます。