日本型プライベートエクイティが変える経済 ハートのある投資で産業インフラとなる

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コンヴァノは、ネイルサロン「FASTNAIL(ファストネイル)」などを首都圏をはじめとした全国で49店舗展開している(18年6月現在)。

一般的なジェルネイルサロンは完成まで90~120分程度かかるが、同社は所要時間が最短で30分程度とスピーディなことが大きな魅力だ。また、料金設定も2990円(税抜)からと低価格で、気軽に入れるサロンとして高く評価されている。

同社は18年4月、東証マザーズに上場した。インテグラルは14年に同社に資本参加したが、投資にあたっては、その特長である「i-Engine」機能がフルに活用された。

ネイルサロン「FASTNAIL」の競争力向上を支援

コンヴァノ 代表取締役社長・CEOの鈴木明氏は次のように語る。「インテグラルのメンバーの方には当社の取締役に就任してもらったほか、常駐してもらい、日常的な会議などにも参加し、意見やアイデアももらいました。当社の大きな武器である独自の予約アプリやジェルオフ機器も、インテグラルとの議論の中から生まれたものです」。

(写真左から)
コンヴァノ  代表取締役社長・CEO
鈴木 明
インテグラル アソシエイト
久保 雅継

15年にリリースした予約システム『FASTNAIL TOWN』は、8割以上の顧客を自社経由で集客する仕組みを実現した。集客を他社メディアの広告に依存しがちな業界では特異な存在だ。事前に豊富なネイルのデザインが選べるといった利便性もあり、リピーターも増えているという。また、爪を極力削らない専用の機器を用いてジェルネイルを除去する『e.g.1』も、施術時間が短縮できるため好評だ。

インテグラル アソシエイトの久保雅継氏は「予約システム、ジェルオフ機器ともに、中長期的な競争力向上につながるものとして、当社も積極的に関与しました。中でも『e.g.1』は、開発のプロジェクトリーダーも当社の人材が務めたほどです」という。PEファンドがオリジナル機器の開発にまで携わるとは、インテグラルの「日本型PE」らしさが発揮されたと言えるだろう。

鈴木氏は「まだ、女性の5分の1しかネイルサロンに通っていないというデータもあり、成長の余地は大きいと考えています。インテグラルからは、上場に際して、エクイティストーリーや社内管理体制の構築において支援がありました。また、インテグラルはわれわれ同様、上場をゴールではなく、さらなる事業成長の為のステップと位置づけており、上場を果たした今も引き続き発行済み株式数の約5割を保有しています。当社のビジョンである『ネイルサロン業界で最高のおもてなしを提供する圧倒的なリーディングカンパニーになる』の実現に向けて、引き続きパートナーとして期待しています」と話す。

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