STARTUPS SUMMIT TOKYO 気鋭のスタートアップ企業による成長戦略
インサイドセールス Enablement
スタートアップ×成長の方程式
ー稼ぐ組織を創る!「営業改革」「営業人材育成」
セールスフォース・ドットコムの鈴木淳一事業部長は、インサイドセールスを組み込んだ先進的な分業体制で営業を展開する同社のモデルを説明した。
インサイドセールスが、マーケティングと外勤営業の間に入ることで、マーケがイベントなどで獲得した名刺を外勤営業の机の引き出しに眠らせるのを防ぎ、失注案件を外勤営業から引き継いでフォローすることで年間数億円を掘り起こす。AI活用で、優先順位をつけたアプローチ先企業のリストが自動作成できるようになり、さらに効果は高まっている。
インサイドセールスは育成にも関与。採用難はセールスフォース・ドットコムも例外ではなく、近年はベテラン営業担当の中途採用から、第二新卒の若手採用・育成にシフトした。若手がアポ件数だけを追求すると、質が低下して外勤営業担当の活動効率が悪化するため、アポが契約に結びついた確率などの指標を設定し、育成に役立てる。ミーティングでは、目標達成に向けた行動も確認。開拓者精神、グリット(やり抜く力)など、わかりやすいキーワードで、同社のカルチャーへの理解を深めた結果、「社員の10%のインサイドセールスが、売り上げの40%に貢献しています」と胸を張った。
セールス・イネーブルメント(営業人材開発部門)の河邉大輔・シニアマネージャーは、変化の時代に求められる人材開発に向けた三つのアプローチについて話した。
一つ目は「一人ひとりに応じた人材開発」。「多様なバックグラウンドを持つ社員に画一的教育は無理がある」として、達成率などの営業データと、トレーニング受講回数などの育成データを分析、その人に何が足りないかを可視化し、最適なプログラムを提供する。
二つ目は「ビジネス要件に合わせ、コンテンツを常に進化」。同社では昨年度、各営業担当の基礎力、現場力、大局観、発信力の四つを測るスキルマップの仕組みをつくった。今年度はさらなる営業社員の採用増に備え「売れる営業への最短距離」として、何を、いつ身に付けるべきかを示すラーニングジャーニーを策定。後者はシステムも含めて約1カ月で作業を終えた。「時間がかかると、次の要件が出てきてしまいます」と、スピードや柔軟性を訴えた。
三つ目は、寺子屋式座学ではなく、体験や面白さを重視。まばたきなどから集中力を測るメガネを使い、集中力を高めるプログラムのあり方を探る試みを実施。「楽しみながら勉強してもらう工夫も大切」と述べた。