STARTUPS SUMMIT TOKYO 気鋭のスタートアップ企業による成長戦略

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スペシャルセッション
スタートアップ×グロース戦略
事業成長における壁とその乗り越え方

モデレーター:林口 哲也氏

スペシャルセッションは、セールスフォース・ベンチャーズが出資するスタートアップ企業3社の経営者が登壇。林口マネージャーの司会で、成長過程に経験したチャレンジを語った。 

カケハシ 取締役COO
中川 貴史

調剤薬局の薬剤師の業務負担を軽減して患者に向き合う時間を確保し、服薬指導などの質を向上させるシステム「Musubi」を提供するカケハシの中川貴史氏は「リーンスタートアップは、小さくつくったMVP(実用最小限の製品)を早くリリースして検証を繰り返すのが一般的ですが、保険医療に関わる性格上、業務に確実に使えるようにするためにMVPを大きくしなければなりませんでした」と振り返った。代わりに、経営陣は、400店以上の薬局を訪問してオペレーションを精査、社内にも薬剤師を雇ってフィードバックを得ることで、設計段階から精度を高めた開発を進めた。

中川氏は「製造業や金融、医療などの領域でもテクノロジーを使った進化が進むはずです。これからは、私たちの製品のようなバーティカルSaaS(特定業界に特化したアプリケーションサービス)に大きなチャンスがあると思います」と、会場のスタートアップ企業経営者らにエールを送った。

UPWARD 代表取締役CEO
金木 竜介

地図・位置情報とCRM(顧客管理システム)を連携させた外回り営業向け支援ツールを提供するUPWARDの金木竜介氏は「外回り営業スタイルは多様で、製品が市場にフィットするか、についての仮説検証が難しかった」と、企業にヒアリングを繰り返し、営業担当の外回りにも同行した苦労を振り返った。

同社はもともと、地図や位置情報技術を使った業務システムの受託開発をしていたが、クラウドサービス化の流れの中でSaaS事業へ転換。SaaSは、提供サービスが顧客の課題解決に合わなければ、解約されてしまうため「売り上げ欲しさに目先の大きな商談に飛びつくのは我慢して、その顧客が、本当にサービス提供したいペルソナに合致するのか、見極めることも大事」と話す。経営については「SaaSスタートアップ企業は、活動を数値化してトレンドを把握するサイエンス経営が必要。自社にフィットしたKPI(経営指標)を見つけられるかがポイントです」と述べた。

WEIC 代表取締役社長
内山 雄輝

営業先を生成するクラウドサービス「SALES BASE」を提供するWEICの内山雄輝氏は、14年前の大学在学中に語学のeラーニングサービスを起業。その会社をベースに、米国で見たインサイドセールス(電話やメールによる内勤営業)を日本でSaaSとして提供する事業に乗り出した。

しかし、日本ではインサイドセールスがまだほとんど知られていなかったため、2014年ごろ、まずは月額と成果報酬を組み合わせた課金形態でアポ取り代行サービスを開始。

その後、インサイドセールスの認知度の高まりとともに、インサイドセールスのBPO受託事業を経て、17年にようやく当初から思い描いていたライセンス制課金モデルのSaaSに移行した。市場の変化に合わせてビジネスモデルを変えてきた内山氏は「SaaSビジネスには、派手でスマートなイメージがあるかもしれませんが、裏では泥臭い仕事もあることも認識していただければ」と語った。

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