社会に好循環を生み出す
環境・CSR戦略

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「質」が問われるCSR報告書

まずCSR報告書の作り方に問題があります。日本国内向けに作成した報告書をそのまま英訳しただけのものが多いのですが、日本語と英語では論理構成が違います。日本語では外堀を埋めてから結論をいうのが通例ですが、英語ではまず結論を示し、それからその理由を述べていくという構成が一般的です。ですから日本の報告書をそのまま翻訳したものでは、欧米の人は途中まで読んでやめてしまいます。

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なぜ企業CSRに投資すべきか(ループ図)

日本企業のCSR報告書は、これまでの実績を示すだけで終わっているものが多いのも気になるところです。CSR報告書を読む人は、過去の実績に加えてこれからその企業がどの方向に進むのかということも知りたいのです。少なくとも大手企業は大半がCSR報告書を出しています。でも、CSR報告書はもはや出すかどうかではなく、その「質」が問われる時代なのです。企業価値を高め、社会に好循環をもたらすためには、どういう報告書をどうつくればいいのか、ということを真剣に考えるべきでしょう(なぜ企業はCSRに投資すべきかについて、システム思考でいう「ループ図」を示しますので、参考にしてください)。

米国では、CSR活動にきちんと取り組んでいる企業のほうが業績がいいという調査が複数発表されています。そのため投資家は、投資先を選ぶときにCSRを参考にしています。そこに日本企業の情報がなければ、投資家の目が向けられることはありません。それが企業にとって大きなマイナスであることは言うまでもないことでしょう。