子育てと議員は両立可能、野田大臣の実践 地方も東京も国会も、自由な働き方が不可欠

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ウーマンテレワーク体験プログラムに参加した 入谷真紀氏

「ウーマンテレワーク体験プログラム」は、女性および企業向けのスキル講座とテレワーク型のインターンシップで構成される。出社を前提としない働き方を企業と個人の双方が学ぶことで、個人がスキルを活かして遠隔地の企業で働き、企業は遠隔地の人材を獲得し、地方創生の選択肢にすることを検証している。

受講した入谷氏は流山市在住。建設コンサルタント会社に勤務後、育児で10年以上のブランクがあったが、キャリアを活かしながらスキルを磨いて社会貢献したいと志望していた。育児をしながらだと地元で働くのがベストだが、希望に合う企業がなく、「あきらめなければならないのかな」と思っていたという。

「テレワークという言葉も知りませんでしたが、あきらめなくて済むチャンスと思い参加しました。実際に体験すると、情報の共有やコミュニケーションも非常に簡単で『これなら働ける』と将来のビジョンがどんどん広がっていったんです。『一歩踏み出そう』と決意できたおかげで、自分の可能性を見つけられました」(入谷氏)

ダンクソフト 代表取締役
星野晃一郎氏

プログラムの一環でテレワークインターンとして入谷さんを受け入れたのがダンクソフト 代表取締役の星野氏だ。リアルで顔を合わせたのはこの日が初めてだそうだが、テレワーク雇用を積極的に進めている同社では珍しくないという。しかも、テレワークを積極導入しているのは経営戦略からだと明かす。

「東京でも採用が非常に難しいので、今は全国8カ所にサテライトオフィスを設け、採用面接も業務もスカイプで実施しています。入谷さん以外にも会ったことのない社員はいますよ」(星野氏)

流山市市長
井崎義治氏

井崎氏は、子育てしながら働ける環境づくりに取り組むため、「やらないリスク」と「潜在的なニーズ」を意識した事業推進を市の職員にも促しているという。

「流山市は、千葉県内で過去5年間人口増加率が1位で、子育てしやすい環境づくりに早くから取り組んできました。しかし、子育てをするために仕事を辞めざるを得ない女性が非常に多いんですね。当市で女性活躍推進に注力されている尾崎さんもそうですが、働きたい人が働きやすい環境を整えるため、企業への支援にも力を注いでいます」(井崎氏)

これらの話を受けて、体験プログラムを推進してきた日本マイクロソフトの宮崎氏は、次のように決意を示した。

日本マイクロソフト
地方創生担当部長
宮崎翔太氏

「働きたいのに働けない女性がマイノリティなのであれば、マジョリティ側である男性や管理職、経営者が変わるべきだと思います。女性だけでなく、シニアや若者も含めた日本全体の問題だととらえていますので、弊社はテクノロジーの観点から支援を続けつつ、この活動に貢献できる人をどんどん集めて、国民としてのうねりを生み出していきます」

「より人間らしくなれるチャンス」

テレワークを軸とした新たな働き方のうねり。それが地域から生まれ始めていることをイベント参加者が共有できたところで、ロンドン・ビジネススクール教授のリンダ・グラットン氏の講演の時間となった。グラットン氏はまず、新たなテクノロジーが創出されることの効用に触れた。

「今までの働き方はロボット的でしたが、テクノロジーの進化で単純作業をする必要がなくなります。退屈で嫌な仕事はロボットにプレゼントして、人間らしい時間を楽しみましょう」

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