アンメットニーズに応える成長戦略 革新的新薬をグローバル市場へ

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持続的成長のための成長戦略

「医薬品業界全体で新薬創製の成功率が低くなる一方で研究開発費がますます増加する今、より良い医薬品をより速く開発することに加え、より低価格で生み出し、収益をあげて、さらなる研究開発投資を行っていかねばなりません」と相良氏。小野薬品工業はこの難題を克服し、次のステージへと歩を進めるべく、新たな成長戦略を実行に移している。

その一つが、「製品価値の最大化」だ。「当社にとって最大の成長ドライバーであるがん免疫療法薬の価値最大化に向けては、適応がん腫の拡大に取り組んでいます。すでに承認取得している悪性黒色腫(皮膚がん)、非小細胞肺がん、腎細胞がん、ホジキンリンパ腫、頭頸部がん、胃がんに加え、現在20を超えるがん腫の適応取得に挑んでおり、8つのがん腫は最終の臨床試験段階まで開発が進んでいます。同時に、他の薬剤との併用によって治療効果をより高める併用療法の開発などにも取り組んでおり、増産にも対応できるよう山口県に新工場を建設中です」とその取り組みを語る。

山口県に建設中の新工場。2020年3月操業開始予定

また、ジェネリック医薬品の普及促進策や開発期間の長期化によって新薬のライフサイクルがますます短くなっており、製品価値を高めるには、早期の上市とともに最短でピークセールスに到達することも必要になる。すでに、医薬品を発売する前段階でエビデンスを構築し、医学・科学情報を提供するメディカルサイエンスリエゾン(MSL)の増員やマーケティング部門の強化に注力しており、「発売した時点には勝負がついているところまで後発企業との差を広げておきたい」と戦術を練る。

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