アンメットニーズに応える成長戦略 革新的新薬をグローバル市場へ

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水無瀬研究所第3研究棟
創業301年目を迎えた小野薬品工業。国民皆保険制度維持のための医療費削減に向けた薬価の引き下げやジェネリック医薬品使用促進など、厳しい経営環境にさらされながらも、新薬開発に特化する経営方針を貫き、さらなる成長を目指している。革新的ながん免疫療法薬を起爆剤に、グローバル市場への進出を見据え、次なる新薬の創製に向けて果敢に挑戦を続けている。

独自の創薬手法で革新的な新薬を創製

小野薬品工業
代表取締役社長
相良 暁

医薬品業界を取り巻く環境が厳しいといわれて久しい。社会保障費の増大に歯止めをかけるため、薬価の引き下げやジェネリック医薬品への切り替えといった医療費抑制政策が促進され、近年さらに過酷さを増している。それに対し、「どのような政策が打ち出され、厳しい市場環境になっても、それを勝ち抜き、企業理念である『病気と苦痛に対する人間の闘いのために』革新的な医薬品を患者さんに届ける使命を果たし続けていかなければならないと思っています」と覚悟を語るのは、小野薬品工業の相良 暁代表取締役社長だ。

2017年に創業300年を迎えた小野薬品工業は、中堅企業ながら、経営資源を新薬開発に集中させ、他にはないユニークな医薬品を創製することで、確かな存在感を示してきた。それを可能にしているのが、独自の創薬手法「化合物オリエント」だ。

1960年代に生理活性脂質「プロスタグランジン」の全化学合成を企業として世界で初めて達成した同社は、その過程で豊富な脂質領域の化合物を蓄積するとともに、その中から医薬品の種を見つけ出して創薬につなげる「化合物オリエント」という独自の手法を確立。これをもとに数多くの革新的な新薬を世に送り出してきた。そして2014年、これまでにないメカニズムを持つ画期的ながん免疫療法薬の実用化に成功し、飛躍の足がかりをつかんだ。

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