若き博士たちが明かす意外な「本音」とは? 分野も固定観念も、軽々飛び越えて描く将来

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現在は、研究所で基礎研究に取り組んでいる。「実際の業務にあたってみて、また同期入所の仲間と話す中で、自分の専門分野だけでは太刀打ちできないと実感しています。専攻の殻に閉じこもらず、他者と積極的にコミュニケーションをとって共通言語を探す必要があるのです。プログラムで培った力が、まさに今活きていると感じます」

産業界で待望される リーダーとなる博士人材

「研究や開発の成果が社会に実装され、人々の役に立つところまで見届けられること」と、博士人材が産業界で働く魅力を語る長我部氏。これから産業界に飛び込む人材には、「ラストマンシップ」を持ったリーダーとなることを期待する。

「ラストマンシップとはすなわち『自分が責任を持つ』という気概です。それは決して、最初から最後まですべて自分一人でやり遂げることではありません。多くの人の協力を得ながら組織をまとめ、課せられた責務を全うする。そんなリーダーシップと実行力を備えた博士人材を待っています」

文部科学省の事業は2019年3月を区切りに終了するが、大阪大学のカデットプログラムは、まだ発展の途に就いたばかりだ。学生たちの目覚ましい成長に手ごたえを得つつ、芦田教授はこれからのプログラムをこう展望する。

「まだまだ大いに、ブラッシュアップしていく余地がある。今後は企業と連携して、現実にある課題の解決に向けて取り組みをしたり、教育プログラムの一環として共同研究を実施するなど構想しています。プログラムで目指しているのは、単に優秀な博士人材の育成だけではありません。さらなる産学連携を実現し、最終的には社会課題の解決に寄与していきたい」

さらに充実しつつあるカデットプログラムによって、大阪大学の研究力もいっそう強化することだろう。期待は高まるばかりだ。

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