米予算教書、「インフラ投資」に2000億ドル 国防費拡大やメキシコ国境の「壁」建設費も
ホワイトハウスはメディケア予算の減額はメディケア改革を通じてなされるもので、給付金カットではないと説明している。
予算教書は一方で、今後10年で進める1兆5000億ドル規模の官民インフラ投資向けには2000億ドル、「壁」建設費を中心とする国境警備強化や不法移民対策で230億ドル超、国防関連では7160億ドルを要求。
「壁」建設費は向こう2年で180億ドルを求めた。医療用鎮痛剤「オピオイド」依存症の治療プログラム向けに向こう2年で130億ドルの拠出を提案した。
国境警備に関しては、移民税関捜査局(ICE)の職員などを2000人増やすのに5億7100万ドルの追加支出を盛り込んだ。
米国の利益のため
トランプ大統領がたびたび批判する国連への拠出金は4.5%引き上げた。予算教書は拠出金増額について、「薬物規制、犯罪・テロ防止、貿易促進」などの米国の利益のためとした。
経済成長率は、向こう3年にわたり毎年3%以上と高めを見込んだ。高めの成長目標は、昨年末に成立した1兆5000億ドル規模の大型減税による減収を埋めるのに欠かせない。大型減税や今後2年の予算案の成立で財政赤字が膨らむ中、予算教書は楽観的な成長見通しを示す一方で、10年以内に財政赤字を解消するという財政保守派の目標をトランプ政権が断念したことも意味している。
下院予算委員会の民主党トップ、ジョン・ヤーマス議員は提案された歳出削減を批判。声明で「重要な連邦支出の削減は余りにも極端。勤労世帯を見下した内容で、強固な社会へのビジョンを完全に欠いている」とした。
また、インフラ投資計画を巡っては、民主党が求めていた規模の新たな連邦政府支出が盛り込まれていないほか、財源の確保についても明確にしておらず、議会で十分な支持を獲得できるか課題が残されている。
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