1位はどこ?全国「不審者出没」駅ランキング 埼玉県の件数が多いのには理由がある

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もう1つの理由は、不審者の出没エリアについての表現が警察によって異なるため、集計に影響が出ることだ。簡単に言えば、大阪府警や兵庫県警の情報は「〇〇児童公園」や「〇〇交差点付近」のレベルまで場所を絞り込めるのに対し、神奈川県警の場合は、出没エリアが小学校4~5校に囲まれるような広さになる。

たとえば、〇〇市〇〇町1丁目5番にある「〇〇公園」で下半身露出が発生した場合、各地の警察は出没エリアについて、おおよそ次のような表現をする。

大阪府警、兵庫県警……………〇〇市〇〇町1丁目5番
警視庁、埼玉県警、愛知県警…○〇市〇〇町1丁目
神奈川県警………………………〇〇市〇〇町付近

〇〇町は、東端が現場となった○○公園のある1丁目、西端が「○○駅」のある8丁目で、端から端まで歩くと10分程度かかるエリアだとする。

「1丁目」と入っている大阪府警や兵庫県警などの表現であれば、「〇〇駅」は現場から離れているとわかる。しかし、神奈川県警のような表現だと、〇〇町全域が出没エリアとなるため、日本不審者情報センターでは「〇〇公園」も「〇〇駅」も近隣施設としてデータベースに登録する。このような違いが積み重なると、集計する際に大阪府と兵庫県では不審者情報の公表数にくらべて駅の登場回数が少なくなり、反対に神奈川県では駅が多いという結果になる。

情報公開先進県の埼玉に続け

一方、埼玉県警と警視庁は不審者出没エリアについての表現が同じであることから、公表数の差がランキング上位駅の数となって現れた可能性がある。東京都と埼玉県の境にある秋津駅(東京都東村山市)の周辺では期間内に不審者情報が8件あったが、このうち6件が埼玉県内での発生なのはこのためだろう。秋津駅周辺の不審者情報は以下のとおりだ。

東京都内
・公然わいせつをおこなった(6/20、清瀬市野塩5丁目)
・子どもに対し公然わいせつをおこなった(8/3、清瀬市野塩1丁目)
埼玉県内
・ベランダから女性用下着を盗んだ(3/1、所沢市上安松)
・車に乗って児童につきまとった(4/3、所沢市上安松)
・女性に下半身を見せた(4/12、所沢市上安松)
・自転車に乗って女性の体を触った(4/18、所沢市下安松)
・干してある女性用下着を盗もうとした(8/25、所沢市上安松)
・自転車に乗って男子生徒の体を強く触った(10/16、所沢市下安松)

地域住民にとって、見えない不審者は情報によって可視化される。秋津駅周辺を例にすれば、情報が少ない東京都側のほうが不審者が見えないままになってしまう。警視庁をはじめ全国の警察は埼玉県警の情報公開姿勢を見習い、公表数を増やして不審者の存在を見えるようにすることが急務だ。

(*警察などが公表する事案概要が「公然わいせつ」と書かれている場合、下半身を露出したことが明らかでなくても、この記事では「下半身露出」として扱い、集計した。)

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