働くあなたが「月曜午前」を警戒すべき理由 新たな提言「スローマンデー」って何?!

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「今後、月曜午前のダブルプロダクトの上昇が、心血管事故と具体的にどのように関連しているのかを、明らかにする必要があります。仕事によるストレス負荷を定量化するうえでは、血圧値以上に心拍数のほうが有用であると考えていますが、どちらが心血管事故と密接に関連しているかはさらなる調査が必要になってくるでしょう」(木村氏)。

プレミアムフライデーより「スローマンデー」が大事

日本のような先進国で死につながる重大疾病の大きなリスク要因となっているのが、「高血圧」「喫煙」「高コレステロール」だ。特に高血圧は日本人の死因の上位を占める脳・心血管疾患の発症リスクを高めるもので、脳卒中の62%、冠動脈疾患の49%の発症要因と言われる*1。

「脳卒中ほか心筋梗塞や突然死についても月曜午前10時が最も起こりやすい時間帯であることがわかっています」(木村氏)

国内の高血圧患者数は4000万人と言われており、そのうち半分の2000万人しか自分が高血圧であることを認識していないという。しかも、高血圧を認識している患者でさえ、その半分しか治療を受けておらず、さらに、そのまた半分しか良好に血圧をコントロールできていないという。つまり、高血圧の降圧療法の恩恵を受けているのは、患者全体の8分の1に過ぎないのである*2。

出所:「Kimura G, et al: Increased double product on Monday morning during work. Hypertens Res 40:671-674, 2017」

さらに注意しなければならないのは、若くても高血圧になる可能性が十分にあるということだ。ビジネスパーソンならば、年齢にかかわらず月曜午前に大きなストレスがかかっているのではないかと予想し、ダブルプロダクトの上昇を抑える対応が必要だ。木村氏がそのために提唱するのが「スローマンデー」だ。

「これからはビジネスパーソンの働き方改革を進めなければなりません。特に月曜日の仕事をスロースタートにして仕事モードに切り替えていく必要があります。そのために金曜日に月曜日の予定を整え、重要な会議はなるべく月曜日にしないよう考慮するなどが大切となってきます。そして、何よりも月曜午前のダブルプロダクトの上昇は、仕事のストレスの表れだとみなすべきです。消費を促すプレミアムフライデーより、健康を守るスローマンデーが大事なのです」

特に肥満の人は高血圧になりやすいので、仕事でのストレスを軽減していくと同時に食生活を見直す必要がある。また、肥満ではなくてもストレスが多く多忙な30代~40代の働き盛りのビジネスパーソンは注意が必要だ。木村氏は、こうアドバイスする。

「高血圧を予防するには、日頃から健康診断を受けたり、自分で毎日血圧を測ったりすることが重要になってきます。特に、働き盛りのビジネスパーソンは、健康への意識を高めて改めて自身の健康状態を見つめなおすのがいいでしょう。健康な人でも1日の中で血圧は変動します。だからこそ、毎日血圧を測ることが重要なのです。市販の血圧計で今の自分の状態を把握して、問題があれば早めの対応をとる。それがリスクを軽減することにつながるのです」

*1 Ezzati M, et al: Selected major risk factors and global and regional burden of disease. Lancet 360: 1347-1360, 2002
*2 Smith WCS, et al: Control of blood pressure in Scotland: the rule of halves. BMJ 300: 981-983, 1990
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